「『早くコロナを収束してくれ』という国民の声が、野党候補の勝利につながった」。1日、連合徳島が徳島市の県労働福祉会館で開いた徳島中央メーデーで、立憲民主党県連の庄野昌彦代表はネット配信用カメラに向かって力を込め、次期衆院選での支持を呼び掛けた。

 庄野代表が指したのは、4月25日投開票の衆参両院3選挙。野党は候補者を一本化して臨み、「保守王国」とされる広島の参院再選挙も含めて全勝した。次期衆院選に向けて共闘に弾みをつける結果となった。

 ただ県内では、共闘態勢は整っていない。徳島1区では、野党系で出馬の意向を示しているのは旧民主党の元職仁木博文氏のみ。「これまで以上に保守層に支持が広がっている」とし、無所属で立つ予定にしている。立民が2月に公認を打診した際も固辞し、推薦依頼にとどめている。

 2017年の前回衆院選で、仁木氏は土壇場になって民進党から希望の党に移った。憲法改正論議を進めることや安全保障関連法を容認する希望の党との政策協定書に署名し、共闘態勢が瓦解した。こうした経緯から、今でもわだかまりを持つ野党関係者は少なくない。

 今回もあいまいな姿勢を見せる。取りざたされている飯泉嘉門知事が出馬した場合、自民党現職の後藤田正純氏との保守分裂となれば埋没の恐れがあるとして、立民への推薦依頼を公認要請に切り替えることも考えている。

 立民県連内では「推薦や公認が思い通りになると考えられては困る」との声が上がり、庄野代表も「従来の支持者を大切にしないと、票を伸ばすのは難しい」とけん制する。

 候補擁立を見送って共闘を目指す共産党も、仁木氏に一定の譲歩を求める構えだ。上村秀明県委員長は「政策合意がなければ共闘は難しい」と指摘する。

 そんな中、橋渡しに尽力するのが、16年の参院選を前に結成された市民団体「オール徳島」。これまで国政選挙で各党間を取り持ってきた河村洋二事務局長は「しこりは確かに残っている。何とか歩み寄れる形にしたい」と調整に意欲を見せる。

 自民現職の山口俊一氏に挑む徳島2区は、共闘どころか野党同士が戦う構図になっている。共産は20年3月に久保孝之氏の擁立を発表。立民は21年3月、県内では初の公認候補として北島町議の中野真由美氏を立てることを明らかにした。

 2区は、旧民主党が政権交代を実現した09年の衆院選で、自民現職を破った選挙区。立民の平野博文代表代行が、中野氏を直接説得する形で擁立が実現した。新人で知名度が低いため、県連は街宣やあいさつ回りに奔走し、組織を挙げて浸透を図っている。

 共産にも引けない理由がある。「選挙区に候補者がいないと選挙運動が制限され、比例四国で票の上積みが難しくなる」と上村委員長。1区に加えて、2区も候補を立てないわけにはいかないのが本音だ。

 立民、共産とも一本化が実現しなければ自民現職と渡り合うのは難しいという認識は共有しているものの、県組織での調整は見送り中央に委ねる方針。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中、迫る衆院選。徳島1、2区とも与野党それぞれの事情が絡み合い、前回とは異なる構図となりつつある。