防寒などの理由からスラックスを着用している石井さん(右)=名西高校

 徳島県内の高校で、性別に関係なく着ることができる「ジェンダーレス」制服が定着しつつある。全日制公立高校28校と定時制の徳島中央高校昼間部の計29校のうち、女子制服のスラックス採用を中心に約7割に当たる21校が導入(本年度導入予定を含む)しており、多様性や個性を尊重した制服への対応が今後も広がりそうだ。

 29校を対象に4月下旬~5月上旬、電話で聞き取り調査した。ジェンダーレス制服を導入していると答えた21校全てで女子生徒のスラックスを採用していた。女子制服の上着に付けるネクタイとリボンを選択できる高校も少なくなかったほか、男子生徒のスカート着用を認める高校もあった。

 

 21校の多くが、ここ5年ほどの間にジェンダーレス化に踏み切っており、海部と阿波西、穴吹は本年度からの導入。2003年度から導入している城東は「制服変更のタイミングで『女子生徒にスラックスという選択肢があってもいいのではないか』という意見が出たことをきっかけに取り入れた」としている。

 導入校で実際にスラックスを着用している女子生徒は少なく、多くの高校が数人程度と答えた。

 

 ジェンダーレス制服を導入していなかったのは徳島商業、徳島中央、小松島、富岡西、板野、吉野川、阿波、脇町の8高校。このうち徳島中央は私服での登校を認めている。未導入校の中には女子生徒の制服がセーラー服だったり、伝統ある制服を変更するのに難しさを感じていたりするケースがあった。小松島は導入していない理由について「これまで生徒や保護者からの要望がなかったが、そうした意見があれば検討したい」としている。

 ジェンダーレス制服について、県教委人権教育課は「各校には学校の目標や生徒の実態に合わせて臨機応変に対応してほしいと伝えており、指導などはしていない」とした。

 名西高2年の石井未来(みく)さん(16)は防寒対策だったり、所属する書道部で活動しやすかったりといった理由でスラックスを着用。「スラックスは寒さや動きづらさの解消につながる。不便な思いをする生徒が少なくなるよう全ての高校で導入されればいいなと思う」と語った。