参院選の「1票の格差」是正などを議論する「参院改革協議会」の設置がようやく決まった。

 選挙制度の変更は、法改正から実施まで1年程度の周知期間が必要とされる。これから議論するのでは、来年夏の参院選に間に合わせるのは困難な情勢だ。

 2019年の前回参院選「徳島・高知」選挙区で戦った自民党の高野光二郎氏は当選後、「合区(の苦労)を味わった議員としてリーダーシップを発揮する」と述べ、合区解消を公約した。比例代表の「特定枠」で処遇された自民の三木亨氏も「2県で1人しか出せないのは理不尽だ」と訴えた。

 あの言葉はどこに行ったのか。これまでまともに議論せずに、なおざりにしてきた責任は重い。

 改革協議会の焦点は、先送りしてきた、「1票の格差」是正と合区解消を図る抜本改革である。

 「1票の格差」を巡っては、最高裁が最大格差5・00倍の10年選挙、4・77倍の13年選挙を「違憲状態」と断じた。これを受け、15年の公選法改正では「徳島・高知」「鳥取・島根」の合区を導入するなどし、付則に19年選挙に向け「抜本的見直しを検討し、必ず結論を得る」と明記した。

 しかし、この約束は守られなかった。自民は18年の改正で、埼玉選挙区の定数2増と、合区によって選挙区から立候補できなくなった現職議員を救済するための特定枠導入を強行した。党利党略そのもので、あきれるほかない。

 しかも15年のような付則は設けられず、付帯決議で「引き続き検討」とするにとどまった。国会議員の本気度を疑わざるを得ない。

 最高裁は昨年11月、最大格差3・00だった19年の選挙を合憲と判断した。ただ、現状でよいと許容したわけではない。格差是正の取り組みについて「大きく進展したとは言えない」と苦言を呈している。与野党は重く受け止めるべきだ。

 都市部への人口集中が進み、格差はさらに拡大していくとみられる。選挙区の定数調整のような小手先の改革では済まされない。

 自民は憲法改正による合区解消を主張し、公明党や野党はブロックごとの大選挙区制、比例代表制などを既に提案している。過去の与野党協議と同様、各党の思惑が先行すれば、議論は深まらないだろう。

 参院は「衆院のカーボンコピー」とやゆされてきた。衆院の結論を再考し、行き過ぎを正す「良識の府」としての役割を果たせているとは言えない。

 まず議論すべきは参院の在り方だ。目指す参院の姿が決まれば、選挙制度改革の方向性も見えてくるはずである。