65歳以上の高齢者が支払う介護保険料の全国平均が、4月の改定で月額6014円となり、初めて6千円を超えた。制度が始まった2000年度の2911円から、20年余りで2倍超の負担増である。

 「保険料負担は5千円が限界」と指摘されてきたことを考えれば、制度維持が危ぶまれる状況に陥っていると言えよう。早急に対策を講じなくてはならない。

 徳島県内24市町村の平均月額は、3年前の前回改定時に6千円を超えている。今回はさらに3・1%増え6477円となった。最高額は藍住町の7150円、最も安いのは神山町の5400円で、最高と最低の開きも一段と広がった。

 全国的に保険料が引き上げられたのは、介護サービスの利用者が増え、費用が拡大しているためだ。介護士の処遇改善のため、介護報酬が0・7%引き上げられたのも反映された。

 一方で、老後の主な収入源となる公的年金は賃金水準の下落を加味し、4月から0・1%減額されている。節約生活を送っている高齢者にとって、保険料の増額は深刻な事態だ。

 保険料を滞納して資産を差し押さえられる高齢者も増えていて、18年度は2万人近くに及んでいる。ますますの増加が懸念され、見過ごすことはできない。

 自治体は保険料を引き上げたくないのが本音だろう。本県でも今回の改定で、据え置きと引き下げは前回の2町から13市町村に増えた。新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受ける高齢者に配慮し、自前の基金を取り崩すなどして、負担を抑えようと努力した跡がうかがえる。

 それでも、高齢化は19年先の40年度がピークになることから、現行制度のままでは今後の保険料上昇が避けられそうにない。

 政府が昨年末にまとめた「全世代型社会保障改革の方針」は、介護保険制度にほとんど触れることなく不十分な内容にとどまった。

 制度は抜本的な見直しが急務だ。40歳以上としている保険加入年齢の引き下げや、介護サービスの自己負担増など、国民が痛みを伴う改革についても議論を始めるべきだろう。

 医療分野でも高齢者に負担がのしかかる。一定所得がある75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げる法案が、衆院を通過した。成立すれば来年度後半から導入されることになる。

 新型コロナ対策への膨大な支出によって、国の財政は余裕がない。それだけに、大企業に有利な税制の改定や富裕層への課税拡大に財源を見いだす検討も必要なのではないか。与野党の枠を超えて熟議し、解決策を探ってもらいたい。