スタッフに相談しながらごみを分別する住民(右)=上勝町福原の「町ゼロ・ウェイストセンター」

 徳島県上勝町のごみ収集所「町ゼロ・ウェイストセンター」が30日、本格オープンから1周年を迎える。町が住民と取り組む、ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)政策を発信する場として注目を集める。一方で、来訪者の増加を見込んでいた各施設の利用が新型コロナウイルスの影響で伸び悩むなど、課題にも直面している。

 センターは木造一部2階建て延べ1176平方メートル。ごみ分別場や宿泊施設、貸しオフィスなどの機能を備える。ごみ分別、集積場が昨年4月20日に、宿泊施設「HOTEL WHY(ホテル・ワイ)」やオフィス棟、交流棟などが5月30日にそれぞれ開業した。総工費は約5億6千万円。

 建物を上から見るとクエスチョンマークの形になっている。「なぜ買うのか、捨てるのか」と問いを投げ掛け、環境問題を意識してもらう願いが込められている。設計は、数多くの受賞歴を持つ建築家中村拓志氏(東京都)。建物そのものがごみゼロの理念を表しているとして、今年4月、国内の建築家がもらう賞としては最高の栄誉となる、日本建築学会賞作品部門に選ばれた。

 リサイクル率80%を超える全国屈指の環境先進地として関心は高まっていて、2020年度はコロナ禍にもかかわらず、5千人以上の視察者らが訪れた。町独自のごみ45分別の体験、ごみ処理を巡る歴史の学習などが好評という。

 だが、宿泊施設は苦戦した。センターの管理会社「ビッグアイカンパニー」によると、20年度の宿泊者数は約1500人。同社の大塚桃奈さん(23)は「コロナ禍や、市街地から離れた立地という条件の中、一定の利用はあった」と前向きに受け止めるが、目標の1万人を大きく下回った。

 入居がない貸しオフィスをどう活用するかも課題だ。環境に関心がある企業や団体のサテライトオフィスを想定していたが、利用希望のあった複数の企業がコロナの影響で延期した。大塚さんは「休暇を楽しみながらリモートで仕事するワーケーションを企業に提案していく」としている。

 また開業当初、吹きさらしのごみ集積場から、レジ袋などが強風で周辺道路に飛んだことがあり、町が57万円をかけて集積所の外周に木板を取り付けた。特徴的な外観だが、今の構造がごみ収集に最適かどうかの検証も必要だ。

 「一つの事例として学んでもらい、ごみ問題のヒントになるような場所にしたい」と花本靖町長。注目の施設はコロナ禍の中で2年目を迎える。

29・30日 記念オンラインイベント

 上勝町福原のごみステーション「町ゼロ・ウェイストセンター」を管理するビッグアイカンパニーは29、30の両日、施設の開所1周年を記念したオンラインイベントを開く。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」やセンターの公式インスタグラムを使ってライブ配信し、施設の特徴や今後の取り組みを紹介する。

 センターは、地元廃材を建物に再利用するなどゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)の理念に基づく設計が評価され、日本建築学会賞を受賞した。29日は設計を担当した建築家の中村拓志氏(東京都)が「建築ツアー」のナビゲーターを務め、オンラインで施設を案内する。センター設立に携わったメンバーによる座談会もある。

 30日は、ごみゼロに取り組む町のビール工房「ライズ&ウィン ブリューイングカンパニー」を巡るツアーを配信。食やファッションをテーマにしたライブトークを開き、徳島市出身のモデル鎌田安里紗さんらがゲスト出演する。

 センター管理者の大塚桃奈さん(23)は「ごみゼロを生活の中に取り入れたいと考えている人に見てほしい」と話している。

 ズームで配信する29日の建築ツアーと座談会は事前予約が必要。予約サイト「ピーティックス」から申し込む。建築ツアーのみ参加費3000円。問い合わせはビッグアイカンパニー、電話080(2989)1533。