パレスチナ自治区ガザをめぐる武力衝突は、ようやく沈静化した。とはいえ、イスラエル、パレスチナとも大きな被害が出ており、住民の怒りは根強い。まずは平静さを取り戻すことが肝要だ。

 イスラエルと、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘は11日間に及んだ。ガザでは子どもや女性を含む250人余が犠牲になり、イスラエル側でも12人が死亡した。

 イスラエル軍はさらにガザ地上侵攻の構えを見せ、被害の大規模な拡大が懸念されたが、エジプトの仲介で停戦合意が成立し、回避された。

 合意は双方の無条件での攻撃停止をうたう。だが、攻撃を受ければ軍事作戦を再開すると警告し合っており、「薄氷の停戦」ともいえる。

 国連や各国は停戦が維持できるよう監視を強めるとともに、恒久的な和平の実現へ外交努力を続ける必要がある。

 戦闘の直接のきっかけは、エルサレムの聖地「神殿の丘」などでのイスラエル警察とパレスチナ人の衝突だった。21日の停戦発効後も各所で散発的に衝突が起きており、予断を許さない状況だ。

 イスラエルとハマスはこれまでも交戦を繰り返してきた。今回は2008年以降4回目となる。その犠牲になるのは常に市民だ。双方には合意の順守を強く求めたい。

 停戦を主導したエジプトは、イスラエルとハマスの双方にパイプがあり、停戦発効後、現地に停戦監視団を派遣した。

 イスラエルとパレスチナの和平交渉は14年以来途絶えている。停戦が維持できなければ交渉再開は望めない。国際社会が監視団の活動を支援してもらいたい。

 懸念されるのは米国の動向だ。バイデン大統領は、親イスラエルの姿勢を鮮明にした前政権と一線を画すとしながら、今回の戦闘ではイスラエル擁護の姿勢を崩さず、非難を浴びた。

 一方で、前政権下で悪化したパレスチナとの関係修復に努める方針を示す。ブリンケン国務長官を現地に派遣したのは、そうした姿勢をアピールする狙いだ。

 ただ、ガザは長年、イスラエルの封鎖政策によって人や物の出入りが制限され、「天井のない監獄」とも呼ばれる。テロ組織に指定するハマスへの非難は当然としても、非人道的な政策を続けるイスラエルに対しても、見直しを迫るべきではないか。

 バイデン氏は、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目標としている。そうであるなら、後ろ向きとされる和平交渉にも積極的に関与すべきである。