「頭が軽くなった。自分の髪の毛で喜んでいただけるのなら、うれしい」と笑顔を見せていた酒井さん(左)と吉田さん=徳島市丈六町の理容室

 病気などで髪を失った子どもの医療用かつらに使ってもらおうと、徳島市南二軒屋町1、酒井喜美子さん(82)と友人の同市南庄町4、吉田みつるさん(72)が、数年かけて長く伸ばした髪を切った。入院先の病院で髪を失った少女が悲しむ姿を目の当たりにするなどし、少しでも力になりたいとの思いでヘア・ドネーション(髪の寄付)に取り組んだ。2人は「髪の寄付に年齢は関係ない。できるだけ多くの人に活動が広がってほしい」と話している。 

 

 酒井さんがヘア・ドネーションを知ったのは約3年前。肺がんを患って徳島市内の病院に入院した際、治療で髪を失った少女が「帽子なんかかぶって学校にいけない」とやり場のない気持ちを母親にぶつける姿を目にした。

 悲しみに暮れる少女にショックを受けつつ、「彼女のために何かできないのだろうか」と思いを巡らせていたときに雑誌でヘア・ドネーションを知り、髪を伸ばすことを決意。品質の良いヘアケア商品を使ったり、外出時は直射日光が当たらないよう必ず帽子をかぶったり、髪が傷まないための努力を重ねた。

「長年連れ添った髪とお別れね」と少し寂しそうな様子で話す酒井さん=徳島市丈六町の理容室

 吉田さんはヘア・ドネーションのために髪を伸ばしていた知人の影響で、活動に取り組むことにした。四国霊場を巡礼した際には宿坊に長い髪を乾かすためのドライヤーがなく、タオルで丁寧に水を拭き取るなど苦労も多かったという。

 2人は15年ほど前に共通の趣味だったマラソンを通じて知り合った。その後、それぞれがヘア・ドネーションに取り組み、互いに励まし合いながら吉田さんは2年、酒井さんは3年以上かけて伸ばしてきた。

 

 2人がそろって髪を切ったのは5月20日。徳島市丈六町の理容室で横並びに座り、髪の状態をドナーシートに記入した後、長く伸ばした自分の髪が切られるのを名残惜しそうな表情で見つめていた。切った髪の毛の長さは酒井さんが約40センチ、吉田さんが約30センチ。医療用かつらを提供している大阪市のNPO法人に近く送る。 

 

 髪を切り終えた吉田さんは「短くなってとてもすっきりした。長い間、手入れしてきた髪に愛着があったので少し寂しいが、やっと寄付ができて達成感を感じている」と話した。酒井さんは「できる限り多くの人がヘア・ドネーションを知り、参加してくれることを願っている」とした上で、「髪を伸ばすのは大変だったけど、もう1回くらいは挑戦したいですね」と笑顔を見せた。