「日本のボランティア活動の祖」と呼ばれる賀川豊彦

 徳島で幼少年期を過ごした賀川豊彦(1888~1960年)はベストセラー「死線を越えて」で知られる文学者だ。また、協同組合を広げた社会運動家、敬けんなキリスト教伝道者など、実に多彩な顔を持つ。そんな中で強調したいのは「日本のボランティア活動の祖」という点だ。

 1909年のクリスマスイブに神戸神学校の寄宿舎を出た賀川は、約6千人が暮らす神戸市内の「新川スラム」に入る。生活に困窮する人たちの救貧活動を始めるためだ。無料診療所や日曜学校を開いたり、食堂を開業したりと、新川での献身活動は足かけ12年に及んだ。

 この間、1923年の関東大震災では、いち早く現地入りし、救援物資や義援金を届ける行動に取り組んだ。こうした無償の奉仕活動の支えとなったのが、徳島中学校(現・城南高)時代に入信したキリスト教の「愛の精神」だったとされる。

 それから七十数年後-。賀川とゆかりの深い神戸が大被害を受けた1995年の阪神大震災では、全国から大勢のボランティアが駆け付けた。「ボランティア元年」と呼ばれ、災害時の救援活動がこの国に根付いていく。そのルーツには間違いなく、賀川の奉仕活動があったのだ。

〈2021・6・15〉