無責任で、真相解明に後ろ向きな自民党幹部の姿勢に、あきれるばかりだ。

 2019年参院選広島選挙区の買収事件で有罪が確定した河井案里元参院議員の陣営に自民党から1億5千万円が送金された問題である。

 二階俊博幹事長が会見で「私は関係していない」と耳を疑う発言をした。後日「責任は総裁(当時は安倍晋三首相)と自分にある」と修正したが、組織内の役割を述べただけであり、肝心の問いに答えていない。

 国民が知りたいのは、誰が何のために、他候補の10倍もの選挙資金提供を決めたのか、である。

 地元広島県連の反対を押し切って案里氏の擁立を主導したのは安倍氏だ。二階氏は、事実上の決済者は安倍氏だと言いたいのかもしれない。安倍氏に説明責任があるのは言うまでもない。資金配分を仕切る幹事長も責任を免れまい。

 官房長官だった菅義偉首相は選挙応援に足を運び、案里氏の夫の克行元法相(公選法違反罪で公判中、辞職)は菅氏の側近だった。現総裁である首相の説明も不可欠である。

 巨額資金の使途も明らかにしなければならない。1億5千万円のうち1億2千万円は税金である政党交付金だ。それが買収の原資になったのか、事件の引き金になったのか。疑問は残されたままだ。

 先月の参院広島再選挙では政治とカネの批判を浴びた自民党が敗北した。県連会長として指揮を執った岸田文雄前政調会長が二階氏に使途解明を申し入れたのは、ポスト菅を意識したアピールとの見方もあるが、次期総選挙に向けた危機感があるのは確かだろう。

 お粗末にも、資金提供を巡って責任を押しつけ合う泥仕合があった。二階氏の会見に同席した林幹雄幹事長代理が「当時の選対委員長(甘利明氏)が担当していた」と指摘。甘利氏は「1ミクロンも関わっていない」と反論した。

 看過できないのは、林氏が事実関係を問う記者団に「根掘り葉掘り、党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と言い放ったことだ。責任に向き合い、国民に説明しようとする真摯(しんし)な姿勢には程遠い。

 買収事件で克行被告への判決が来月18日に言い渡される。しかし、それで問題をうやむやにして幕引きすることは許されない。

 林氏は、検察に押収された資料が返ってきたら買収資金に使われていないことを証明するという。だが、返却を待たなくても調査はできよう。関係者に根掘り葉掘り聞けば分かる話ではないか。このまま真相解明に消極的なら、国民の不信は膨らむ。