新型コロナウイルス対策で9都道府県に発令中の緊急事態宣言が来月20日まで延長されることが決まった。東京、京都、大阪、兵庫は再延長で、期間は2カ月近くに及ぶことになる。

 東京や大阪は感染者が減少傾向にあるものの高止まりし、関西圏では医療の逼迫(ひっぱく)が続く。インド変異株の流行の恐れもあり、宣言を解除できないのが実情だ。

 国民に自粛を求める宣言を延長する以上、政府は科学的根拠に基づいた、納得のいく説明をしないと、協力は得られない。

 しかし菅義偉首相からは、20日間という延長幅の明確な根拠は示されなかった。期間中にどれくらいの感染者数の減少を見込んでいるかも不透明で、収束までの具体的な道筋は見えてこない。

 しかも対策は飲食店や大型商業施設の休業と営業時間短縮、イベントの人数制限が中心で、これまでとほとんど変わらない。もはや頼みはワクチンしかない状況といえる。

 こうした事態を招いた責任は政府にある。PCR検査はなかなか広がらず、医療体制の拡充は後手に回る。ワクチン接種も大きく遅れた。

 致命的なのは見通しや状況判断の甘さだ。4月25日に3回目の緊急事態宣言を出す際、17日間は短すぎるとの声にも、菅首相は「短期集中で抑え込む」と強弁した。感染力が強い英国株への危機感が薄く、懸念された通り、20日間の延長を余儀なくされ、今回再び延長する。政府への不信感が高まるのも当然だろう。

 とりわけ休業や時短を強いられている飲食店、その取引先はたまったものではない。協力金は賃料や赤字補塡(ほてん)の一部にしかならず、経営難の事業者は多い。手厚い支援が不可欠だ。

 政府の対策分科会の尾身茂会長は、自粛疲れや宣言慣れから「宣言が効かなくなっている。納得感のある感染対策が必要だ」と指摘する。東京五輪についても政府は「開催ありき」の姿勢で突き進むが、国民が納得できる開催の在り方を示さなければならない。

 徳島県も4月以降、感染者が急増し、医療が危機的状況に陥った。飯泉嘉門知事は「(感染拡大は)想定外だった」と述べており、変異株を甘くみたことは否定できない。まん延防止等重点措置の要請もタイミングを失した感が強い。

 徳島市ではワクチン接種の予約を巡り、市の説明不足から混乱を来した。

 失敗や見立て違いを取り繕うのではなく、素直に認めて次の対策に生かす。そうした姿勢が政府にも自治体にも求められる。