被害者の恐怖や手口の巧妙化を思えば、遅すぎたぐらいである。改正ストーカー規制法の成立で、取り締まりの強化が可能となる。8月にも全面施行される見通しだ。

 3度目となる今回の改正では、衛星利用測位システム(GPS)機器や、居場所が分かるスマートフォンアプリの悪用を禁じたのがポイントだ。

 相手の承諾なしにGPS機器を車や持ち物に取り付けるだけで違反となる。卑劣な行為が野放しになっている現状を踏まえると、当然である。

 従来、見張りや押し掛け行為の規制場所は主に被害者の住居や勤務先だったが、被害者の行動先まで拡大した。書類交付が必要だった禁止命令は、郵送や公安委員会の掲示板張り出しでも有効となる。

 ストーカー被害は後を絶たない。昨年、全国の警察に寄せられた相談は2万189件に上り、8年連続で2万件を超えた。

 徳島県内も159件と高止まり状態だ。「つきまといや待ち伏せ(見張りなどを含む)」が86件と最多で、「面会や交際の要求」「無言電話や連続電話・メール」と続く。検挙件数は8件、禁止命令が10件、警告が8件などだ。

 ストーカー規制法が成立したのは2000年。女子大学生が殺害された桶川事件がきっかけだった。

 その後の2度の改正で、執拗(しつよう)なメールやブログへの書き込み、会員制交流サイト(SNS)によるメッセージの連続送信を規制対象に加えた。とはいえ、常に情報通信技術の進歩に遅れをとり、法整備が後手に回ってきた感が否めない。

 今回の改正は昨年7月、GPS機器による監視は見張りには当たらないと、最高裁が判断を示したことを受けての対応である。

 ただ、これで十分だとは思えない。今後、法の網をくぐり抜ける新たな手口が出てこないとは言い切れないからだ。社会の変化に絶えず目を凝らし、迅速な対応につなげてもらいたい。

 同時に、再犯抑止に向けた加害者への継続的なカウンセリングや治療、矯正プログラムの充実などを図るべきではないか。

 被害者が声を上げやすい体制づくりや、逃げ場所の確保など被害時に取るべき行動の周知にも務める必要がある。

 県内調査では、交際相手からスマホにGPSアプリをインストールされることに抵抗を感じない大学生が相当数いる実態も浮かび上がっている。無防備な姿勢はストーカー事案につながりかねない。

 痛ましい事件が発生してからでは遅い。教育現場も対策に力を尽くすべきだ。