後藤田正純氏

 今秋までに行われる次期衆院選で、自民党の後藤田正純衆院議員(徳島1区)がこれまで通り公認されるかが、クローズアップされている。後藤田氏の言動を問題視する徳島県議会最大会派・県議会自民党の要請を受けた県連が、公認しないよう党本部に申し入れる異例の展開になっているためだ。

 申し入れ書は、後藤田氏がフェイスブック上で県政や県議会への批判を繰り返している点や過去の女性問題を挙げて「県選出の国会議員として全くふさわしくない」などと指摘し、17日に党本部に提出された。これに対し、後藤田氏は「理由が低レベルで話にならない。県民、党員不在で(県連が)独善的に決めた」と反論している。

 党本部の対応が注目される中、山口泰明選挙対策委員長は18日、徳島新聞の取材に「申し入れ内容の事実確認が先だ」と述べ、公認への影響については明言を避けた。

 一方で「同じ党なんだから双方が話し合い、まとまってほしい」「互いに虚心坦懐(たんかい)に話し合えば、まとまるのではないか」と重ね、地元での調整に期待感を示した。背景にあるのは、県議会側が新たな候補を擁立して保守分裂の選挙となれば、野党候補を利することになるからだ。さらに党内には候補者調整の必要な選挙区が全国に10カ所程度あるとされ、新たな問題を抱えたくないという本音がのぞく。

 これまでに現職が選挙区で公認を得られなかったケースはあるのか。自民党関係者は近年の事例として4人を挙げる。

 このうち3人は、2012年の衆院選で民主党(当時)幹部の対抗馬として3選挙区で擁立され、いずれも敗れたものの比例で当選した。しかし、14年の衆院選では地元との関係がこじれるなどして非公認となった。1人は出馬せず、2人は比例に回って落選した。3選挙区では現職に代わり新たな公認候補を立てた。

 残り1人は佐田玄一郎元行革担当相。政治資金問題や女性問題などがあり、17年の衆院選前に地元の群馬県連は、群馬1区の公認推薦者を佐田氏から比例単独の現職だった尾身朝子氏に差し替えた。党本部は尾身氏を公認し、佐田氏は出馬しなかった。

 徳島県連は、後藤田氏を公認しないよう求めているだけで、代わりの候補を挙げているわけではない。県連会長の山口俊一衆院議員(徳島2区)は申し入れ後の取材で、他の候補について「県連で話し合っておらず、見通しは立っていない」と答えた。

 県連幹事長の嘉見博之県議から出馬を促されている飯泉嘉門知事は、新型コロナウイルスへの対応に注力する姿勢を強調し、「今の段階では考える余地はない」と述べるにとどまる。

 また徳島1区からの出馬を模索している福山守衆院議員(比例四国)については、14年の衆院選の候補者調整で作成した確認書がネックとなっている。県内小選挙区が3から2に削減されたのに伴い、以後の選挙で後藤田氏を1区予定者、福山氏を比例予定者とすることが明記され、山口選対委員長も確認書は「生きている」と明言している。

 ただ、福山氏は「5月中には決めたい」としていた選挙区か比例で出馬するかの結論を先送りしている。県連の申し入れによる事態の行方を見守っており、「いろんな人の話を聞きたい」と言う。

 申し入れから3日後の20日、後藤田氏は山口選対委員長に呼ばれ、党本部で面会した。後藤田氏は「『(公認決定は)原理原則でいく。山口県連会長にも伝えておく』と言われた」と明かし、「原理原則」との発言から自分が公認されると受け取っている。

 後藤田氏の非公認を求める県連の山口会長も、申し入れ後に「他に候補者がいない場合には当然、後藤田さんになっていくんだと思う」と語っており、後藤田氏以外に新たな候補者が現れるかが今後の焦点となる。