外国出身者やその子孫に対する差別的言動の解消を目指す「ヘイトスピーチ解消法」が施行5年を迎えた。

 法施行後、在日特権を許さない市民の会(在特会)などによる威圧的なデモの抑止には、一定の効果があったとされる。一方で解消法がいわゆる「理念法」であり、罰則規定がないための限界も指摘される。

 インターネットでの誹謗(ひぼう)中傷も後を絶たず、より実効性のある「禁止法」制定を求める声も出ている。全国初の刑事罰を盛り込んだ川崎市の条例も参考とし、具体的な施策を探りたい。

 解消法のきっかけとなったのは、在特会員らによる京都朝鮮学校襲撃事件や、川崎市の在日コリアン集住地区で繰り返されたヘイトデモだった。

 この間に徳島では、在特会員ら十数人が県教組事務所を襲撃する事件が起きている。四国朝鮮学校への支援を理由としたヘイトクライム(憎悪犯罪)であり、威力業務妨害罪などで男女8人の有罪が確定している。

 ところで解消法の制定に当たっては「表現の自由」制限の観点から、懸念する声が一部にあった。

 だが「在日」といった本人にはどうすることもできない属性を攻撃し、傷付ける行為は到底許されない。排外主義による差別であり、国連人種差別撤廃条約にも明白に違反している。

 解消法は法の理念を肉付けするため、地方自治体に相談体制の整備、教育の充実、啓発活動などの施策を求めている。そうした中で画期的だったのは、川崎市が昨年7月に「差別のない人権尊重のまちづくり条例」を設けたことだ。

 違反者に対して市長が勧告、命令を出し、従わなければ氏名公表・刑事告発して、最大50万円の罰金を科すという内容だ。市議会は全会一致で可決し、差別根絶への強い決意を示した。

 徳島県男女参画・人権課が「あいぽーと徳島」で行う人権相談に、ヘイトスピーチに関する相談は寄せられていない。徳島地方法務局でも把握はしていないという。かと言って、無関心でいていいはずはない。

 県議会は2015年9月定例会で「ヘイトスピーチへの法整備を含めた対策強化を求める意見書」を可決している。解消法は制定されたが、議論がそれきりになっているのは、どうしたことか。

 例えば、ヘイトスピーチが予想される公的施設の使用を制限するガイドライン作りや、川崎市のように刑事罰に踏み込んだ条例も検討に値するだろう。

 社会を分断し、暴力をはびこらせる差別は許されない。差別解消へ何が有効なのか、県民を巻き込んでさらに議論をしていきたい。