156基―。四国で今、これだけの風車が稼働している。環境影響評価(アセスメント)の対象として公表済みの事業や自治体直営の風車を合計した。香川にはなく、徳島が15基で、愛媛86基、高知55基。この数字は多いのか少ないのか。

 判断材料として、もう一つ数字を挙げたい。四国で計画されている風車はさらに100基以上多い264基ある。多いか少ないか。おそらく、この受け止め方は人によって違う。取材を通じ、そう感じた。

 地球温暖化対策の観点から「脱炭素」が国際社会共通の目標となっている。日本で作られる電力の7割超は、二酸化炭素(CO2)を排出する火力が占めている。日本政府は、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする脱炭素社会の実現を掲げ、4月に30年度の排出量削減目標を13年度比26%から46%へと大幅に引き上げた。

 この目標の実現には「自然エネルギー」「再生可能エネルギー」と呼ばれる風力や太陽光、地熱、バイオマスなど、自然の力を利用した発電の急速な普及が大前提となる。中でも、いち早く急拡大し、適地が少なくなってきた太陽光発電に代わり、要の電源として期待が高まっているのが風力発電だ。ところが、話はそう簡単ではない。

 徳島県内では18年以降、陸上に風車を建てる計画が3件表面化したが、地元住民や自然団体などから厳しい視線が注がれた。

 いずれも風通しのいい山の尾根伝いに立地する計画で、急斜面の上に建てることによる災害誘発、貴重な自然環境の破壊、景観への悪影響などを危惧する声が次々上がった。地元自治体も建設反対を表明した。

 風力発電は、地球の未来を守る存在なのか、それとも、地域の環境を破壊する存在なのか。どちらの印象を持つかで、冒頭の問いの答えは変わるだろう。脱炭素の目標を達成するにはまだまだ風車を建てる必要があり、一方で、建設すれば当然、環境に負荷はかかる。妥協点はあるのか。風力発電への向き合い方を探るため取材を進めた。