ベラルーシのルカシェンコ政権の常軌を逸した行動に、欧米各国から非難の声が高まっている。

 自国の領空を飛行していた他国の旅客機を緊急着陸させ、搭乗していた反政権派ジャーナリストを拘束した。しかも、「爆発物情報」を通知し、戦闘機も発進して着陸させたというから驚く。

 ルカシェンコ大統領は「国民を守るための行動」と正当化するが、機内から爆発物は見つかっておらず、ジャーナリストを拘束するための口実だったことは明らかだ。

 まさに、「国家によるハイジャック」であり、看過できない。国際社会は結束し、行き過ぎた行動を取らないよう圧力を掛ける必要がある。

 強制着陸させられたのはアイルランドに本拠を置く旅客機で、ギリシャからリトアニアに向かっていた。ベラルーシ当局が「爆弾が仕掛けられたようだ」と通報、大統領の命令で軍のミグ29戦闘機が出動し、首都ミンスクに着陸させた。

 国際法を無視し、空の安全を脅かす行為が許されるはずはない。欧州連合(EU)がベラルーシに対する航空分野の制裁を発表したのは当然だ。

 強権統治で「欧州最後の独裁政権」とも呼ばれるルカシェンコ氏の言論、報道への弾圧も目に余る。

 昨年8月の大統領選で不正が指摘され、全土に拡大した反政権デモで崩壊の危機にさらされたが、ロシアの後ろ盾を得たことで持ち直した。反政権運動を徹底的に抑え込み、多くの活動家やメディア関係者らを拘束している。

 今回の強制着陸によるジャーナリストの拘束は、その強権ぶりを如実に示すものだ。

 EUはこれまでに、ルカシェンコ氏や高官らに制裁を科しているが、新たに経済的な追加制裁を科すことで合意。米国も足並みをそろえる。

 制裁や新型コロナウイルスの感染拡大で国内経済は厳しさを増している。欧米の非難に耳を傾けず、強権支配を続ければ国民の反発を強めるだけだ。

 一方、ロシアはベラルーシを政治、経済、軍事面で重要な隣国と位置付ける。

 プーチン大統領は先週末のルカシェンコ氏との会談で、今回の行動を擁護するとともに結束を確認した。

 両氏は強権支配という政治手法も似通う。ただ、「対欧米」では温度差がある。あくまで強硬なルカシェンコ氏に対し、プーチン氏は協調も模索する。

 大国のロシアが、独裁者に手を貸すのは無責任ではないか。過度に肩入れすれば両国とも国際的孤立を深めることになろう。