長岡マイルさん

映画「あわうた」の一場面(長岡さん提供)

 佐那河内村在住の映像作家・長岡マイル(本名・真一)さん(42)=千葉県出身=の監督作「あわうた」(約72分)が、ポルトガルで開かれたポルト国際映画祭の監督週間長編映画コンペティション部門で、最優秀監督賞と審査員特別賞をダブル受賞した。

 「あわうた」は、いつも突然どこかへ姿を消してしまう芸者・弓子が主人公。東京から地元徳島にふらっと帰郷し、ふとしたきっかけでバーテンダーの幸治と互いの傷を癒やすように生活を共にし始める―という物語。

 長岡さんは、徳島で晩年を過ごしたポルトガルの文人モラエス(1854~1929年)の人生を取材するうち、モラエスと一緒に暮らした芸者のおヨネこと福本ヨネの生き方に着想を得て脚本を書き上げた。

 ロケは徳島市の佐古、南田宮両地区、富田町の「料亭しまだ」などで行った。出演者は主演の俵野枝さん以外は全員素人で、スタッフは数人。終盤は長岡さん一人でカメラを回すなど、ゲリラ撮影を中心としたドキュメンタリー的手法を駆使して約2週間で撮り上げた。編集作業に2年近くをかけて2019年3月に完成した。

 「初のフィクションを一地方の活性化映画にとどめるのは嫌だった」と言う長岡さんは、さらに何度か編集し直した上で各国の映画祭に応募。ポルト国際映画祭(4月26日~5月4日)の監督週間長編映画コンペ部門に選出され、新型コロナウイルスの影響で現地には行けなかったものの4月30日にメールで受賞の報告を受けた。

 「本年度中に県内の映画館で上映できれば」と言う長岡さんは「平凡な徳島の風景にも何かが起きていて、その何かが世界に評価されうるものだということを、この映画を通して徳島の人に知ってほしい」と語った。

 ポルト国際映画祭 ポルトガル第2の都市ポルトで毎年開かれる国際映画祭。1981年創設で、ファンタジー系作品を対象とする世界三大ファンタスティック映画祭の一つ。「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン、英国映画界を代表するダニー・ボイルら世界的な人気監督が若き日の初期作品で歴代受賞者に名を連ね、映画監督の登竜門的な映画祭となっている。