相変わらずの無責任な幕引きにはあきれる。

 選挙区内の行事の際、祝儀や会費名目で現金を配ったとの疑惑を受け、菅原一秀前経済産業相が衆院議員を辞職した。

 東京地検特捜部が公選法違反罪で略式起訴する見通しとなったためだ。罰金以上の刑が確定すれば失職する。追い込まれた末の議員辞職で遅きに失した。

 しかも記者会見もせずに謝罪コメントを出しただけで、不誠実極まりない。自民党幹部に「捲土(けんど)重来を期したい」と訴えたようだが、説明責任を果たさないまま退場した人が再び政治に携わる資格はあるのか。

 何より政治家として許し難いのは、公選法の初歩的な規定すら守っていなかったことだ。

 菅原氏が金品を配っているとの指摘はかなり以前からあった。一昨年、秘書を通じて有権者に香典などを渡したことが発覚し、経産相に就任して1カ月半で辞任した。

 東京地検特捜部は、本人の謝罪などを考慮して起訴猶予としたが、これを覆したのは民意だった。市民で構成する検察審査会は「起訴相当」と議決。特捜部が再捜査し、新たに現金配布の疑いを把握した。略式起訴に転じさせた「市民感覚」に、政治家はもっと目を向ける必要がある。

 ここでも浮き彫りとなったのは、自民党の自浄能力のなさだ。菅原氏に事実関係をただしたり、説明責任を果たすよう迫ったりした形跡は見られない。

 菅原氏もお決まりのように、党に迷惑は掛けられないとして離党、辞職した。25日告示の東京都議選、秋までに行われる衆院選への影響を抑えたい党の思惑を優先してのことだろう。

 「政治とカネ」に絡む自民党国会議員の辞職はこの半年で、吉川貴盛元農相、河井克行元法相と妻の案里元参院議員に続き4人目となる。いずれも安倍晋三政権時に目をかけられ、閣僚などを務めた議員だ。長期政権のおごりと緩みの帰結といえる。

 菅原氏は河井元法相とともに、官房長官だった菅義偉首相の後押しで入閣した経緯がある。吉川氏は昨年9月の総裁選で菅陣営の選対事務局長を務めた。菅首相の責任も極めて重い。

 だが、自民党には危機意識がまるでないようだ。菅原氏が辞職願を出した日、二階俊博幹事長は「政治とカネはずいぶんきれいになってきている」と言い放った。無反省ぶりには開いた口がふさがらない。

 この党は「政治とカネ」の問題に真摯(しんし)に向き合うつもりなどないのだろう。政権党のこうした姿勢が、政治の信頼をおとしめていることを自覚すべきだ。