児童生徒の被害を根絶するために、実効性のある運用に努めねばならない。

 わいせつ行為で懲戒免職になった教員の免許再取得を原則として認めない新法が成立した。超党派の議員立法で、一部を除き1年以内に施行される。

 教員によるわいせつ行為を「性暴力」と定義。同意の有無にかかわらず、禁止する。信頼していた教員から受ける性暴力は、大きな心の傷を負わせる。断じて許せない行為であり、禁止は当然である。

 2019年度は公立小中高校などの教員273人(徳島県内2人)がわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた。過去最多だった18年度に次いで多かった。被害者の半数近くは勤務校の児童生徒や卒業生ら18歳未満だった。

 被害の表面化はごく一部とみられ、極めて深刻な事態と言える。わいせつ行為をした元教員を教育現場に戻さない仕組みができるのは評価できる。

 現行制度では、免職になっても3年たてば免許を再取得できる。過去には性犯罪を起こした元教員が処分歴を隠して他自治体で採用され、わいせつ行為を繰り返した事例もある。

 新法では、都道府県の教育委員会に再取得を拒める権限を与える。各教委は第三者の審査会を設け、意見を聞いた上で判断する。

 文部科学省も昨年、無期限で免許を再取得できないようにする法改正を検討したが、刑終了後10年で刑の言い渡しの効力を失うとする刑法の規定との整合性が壁となり、断念した。

 元教員にも更生して社会復帰する機会や職業選択の自由を保障する必要があり、審査は慎重さと厳格さが求められる。その際、各教委で判断がぶれてはいけない。文科省は統一基準づくりを急ぐ必要がある。

 法は国や自治体に元教員の情報を共有できるデータベースの整備も求めた。個人情報の管理には慎重を期さねばならないが、有効に活用すべきだ。

 新法成立は大きな一歩だが、それだけで子どもたちの被害を根絶するのは難しい。学校や自治体は具体的な対策が必要となる。

 課題の一つが公正な調査だろう。加害者が否定したり、警察が立件しなかったりしたからといって、性暴力の事実をなかったことにすることがあってはならない。身内に厳正に臨む姿勢が不可欠である。

 さらに教育が重要だ。子どもは性暴力に気付かなかったり、保護者らに言えなかったりする場合もある。被害を受けないために、何が性暴力かを教え、拒める判断力を育む必要がある。教員にも研修などで改めて自覚を求めたい。