印刷工場を改装したコワーキングスペース=美馬市脇町のADLIV

 余暇を楽しみながらテレワークをする「ワーケーション」の需要を取り込もうとする動きが徳島県内で広がっている。専用プランを設けたホテルがあるほか、倉庫を改装して受け入れ態勢を整える企業も。県は全国からサテライトオフィス(SO)を誘致する中で、徳島での余暇の過ごし方を提案してきた実績を生かし、都市部からの呼び込みに注力している。

 アオアヲナルトリゾート(鳴門市)は4月、ワーケーションの宿泊プランを設けた。客室に限らずレストランやビーチなど敷地内でパソコンが円滑に使えるよう、Wi|Fi(ワイファイ)の設備を強化した。新型コロナウイルスに伴う移動自粛の影響で利用者はまだ少ないものの、県外の家族連れらが、鳴門の豊かな自然の中でクルージングや釣り堀といった体験メニューを楽しんだ後、仕事に取り組んでいる。

 6月からは日帰りプランを追加した。昼食付きで最大9時間滞在でき、県内在住者も利用しやすいようにした。担当者は「波の音や潮風を感じながら、仕事の効率アップにつなげてほしい」と呼び掛ける。

 異業種の企業が誘致を進める動きもある。広告会社のナカガワ・アド(美馬市)は2018年6月、自社の印刷工場をコワーキングスペースや宿泊スペースを備えた施設「ADLIV(アドリブ)」に改装した。食事の提供もあり、旅をしながら働くプログラマーやカメラマンら3千人以上がこれまでに訪れた。

 利用者と地元住民をつなぐ交流会も開いている。訪れたコピーライターと新しい仕事につながった例もあるという。中川和也社長は「人とのつながりや情報発信の拠点となる地域の関係案内所を目指し、関係人口の増加や仕事の創出につなげたい」と話す。

 人事サービス業のあしたのチーム(東京)は昨年10月から三好市でワーケーションを始め、東京や愛知で働く管理職2人が家族連れで各4日利用した。永年勤続の休暇や有給休暇を活用して家族との時間を楽しみつつ、期間中に1日3時間ほど同社のSOで仕事をする日もあった。担当者は「役職によっては丸一日休むことが難しい場合もあるが、ワーケーションで休暇の取得を推進したい」と述べた。

 県は20年度にモニターツアーを2回開いた。首都圏や関西の12社24人が、県内各地のコワーキングスペースで働きながら、そば打ちや藍染などを体験した。主に自治体が整備したコワーキングスペースや観光スポットをまとめたマップも製作し、県内でワーケーションを満喫できる滞在モデルを紹介している。

 21年度はオーダーメード型のプラン創出や企業のニーズの把握などを進め、新型コロナの感染状況を考慮しながらツアーの開催を目指す考えだ。

 県とくしまぐらし応援課は「徳島でのワーケーションは魅力的だという機運を盛り上げ、コロナ収束後に多くの人に訪れてもらえるようにしたい」としている。