大規模集団接種の会場でワクチン接種を受ける高齢者。接種の加速には打ち手の確保が欠かせない=5日、徳島市のアスティとくしま

 国が新型コロナウイルスワクチンの「打ち手」に臨床検査技師と救急救命士を加える方針を示したのを受け、徳島県内の関係機関からは「協力したい」との声が上がる一方、「通常業務との両立は困難」と難色を示す声も出ている。研修に関するガイドラインは示されておらず、現場には戸惑いが広がる。

 国は接種を加速させるため、医師、看護師、歯科医師のほか、救急救命士と臨床検査技師を活用する方針を示し、国の有識者検討会では大筋で了承された。

 県臨床検査技師会の中尾隆之会長は「要請があれば人材を提供したい」と前向きに捉える。臨床検査技師は血液や尿、脳波の検査などを担当しており、患者の採血も行う。注射器の扱いは慣れており、「研修を受ければ、筋肉注射は難しいことではない。ただ、感染拡大期には通常業務にマンパワーを取られるので十分な人手を出せるかどうかは不透明だ」と語る。

 救急救命士は医師の指示があれば、患者搬送時に静脈注射が認められている。しかし、ワクチン接種には研修を受ける必要がある。国の方針に対して、各消防本部などは「要請があれば研修を進めていきたい」(美馬市消防本部)、「正式に通知が来てから対応を考える」(小松島市消防本部)、「救急搬送体制に支障が出ないことを前提に、慎重に対応していく」(徳島市消防局)などと答えた。

 一方、ある消防署の職員は「人材は限られており、通常の救急業務を最優先するべきだ。コロナ禍で感染防護や救急車の消毒徹底など負担は増している。休日返上の状況にならないよう考慮してほしい」と話す。別の署の職員は「救急現場も人材不足なので、退職した救命士を活用するなど工夫が必要だ」と提言した。

 4日付の厚労省の通知によると、臨床検査技師らに「打ち手」を要請するのは市町村の判断としている。研修については、厚労省が教材作成などを進めているが具体策は示されていない。県は「地域の実情に応じて判断してほしい」としている。