県内の河川に数多く残る潜水橋。吉野川に架かる「川島橋」もその一つだ=吉野川市

 吉野川の河口付近では2012年春に全長1291メートルの「阿波しらさぎ大橋」が開通し、さらにその下流では徳島南部自動車道の架橋工事も急ピッチで進む。日々姿を変える吉野川だが上流へと向けてさかのぼると、昔ながらの「潜水橋」が懐かしいたたずまいを見せている。徳島の原風景とも呼べる景色だ。

 潜水橋には欄干がない。水面からもあまり高くない位置に架けられている。大雨で水かさが増した場合、そのまま水面下に潜る仕組みだ。

 これは欄干に流木などが引っかかったり、欄干自体が濁流をせき止めてしまったりして、橋脚ごと流失するのを防ぐための工夫だ。本格的な抜水橋を次々とは整備できなかったための知恵とも言われている。

 車も通れるため、買い物や通勤、病院通いなど人々の暮らしに根付いている。今年3月に亡くなった俳優田中邦衛さんも出演した美馬市脇町が舞台の映画「虹をつかむ男」では、ラストシーンで印象深く使われていた。

 県内の吉野川には現在、9カ所の潜水橋があり、勝浦川や那賀川にも架かる。高知でも四万十川などに数多く残っており、こちらは「沈下橋」と呼ばれている。

〈2021・6・24〉