太平洋に面した由岐漁港に整備された「阿波沖海戦小公園」。幕府軍艦・開陽丸が使用した大砲の等身大レプリカも展示されている=美波町

 NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」で注目を集めている幕末・維新の激動期。1868年1月4日、徳島県南部の沖合で幕府軍艦・開陽丸と薩摩藩軍艦・春日丸が砲火を交えた。国内初の洋式軍艦による戦い「阿波沖海戦」だ。美波町の由岐漁港には史実を伝える「阿波沖海戦小公園」がある。

 春日丸は兵庫の港から薩摩へ向かう運搬船・翔鳳丸を護衛中で、開陽丸はそれを追っていた。砲撃は伊島(阿南市)の沖合で始まり、由岐沖まで計43発を打ち合った。春日丸は追尾を振り切って薩摩へ戻った。

 一方、逃げ切れないと覚悟した翔鳳丸は薩摩藩士ら40人余りを上陸させた後、由岐沖で自爆。藩士は土佐へ逃げた。藩士らが上陸した場所に整備された小公園には、碑や説明板、大砲のレプリカが置かれている。

 またJR由岐駅に併設の複合施設「ぽっぽマリン」では、海戦前後の国内政治情勢や主要人物の解説パネル、砲弾破片など翔鳳丸の遺品が展示されている。

 海戦前日の1月3日には薩長と幕府軍が激突した鳥羽・伏見の戦いが起きている。海戦は幕府軍優勢だったといえるが、その後の戊辰(ぼしん)戦争の経緯は歴史が示す通り。開陽丸に榎本武揚、春日丸には東郷平八郎という歴史上の著名人物が乗船していた点でも興味深い。

〈2021・6・29〉