吉野川オアシスへの指定管理料について審議した東みよし町議会=3月、同町議場

 徳島県東みよし町の吉野川ハイウェイオアシスを運営する第三セクター「吉野川オアシス」が、赤字体質から脱却できずにもがいている。今期の決算では、新型コロナウイルスの影響で1億円超の赤字を計上。町が公費を投じたにもかかわらず、累積赤字は4億円以上に膨らんだ。一方、金融機関の融資で当面の資金難は乗り越え、ずさんだった経営をチェックする新組織が設けられるなど改革が進みつつある。社の存続を疑問視する声もある中、再建できるかどうかの岐路に立つ。

 「経営が破綻している。新会社としてやり直した方がいいのでは」「一度、立ち止まって考えるべきではないか」。町議会では、吉野川オアシスの撤退を巡る議論が繰り返されてきた。背景には、昨年5月に経営陣を刷新し、町が公費を投じても上向かない経営状況がある。

 町が筆頭株主である同社は、ずさんな経営とチェック体制の不備によって巨額の赤字を抱えてきた。コロナ禍によって2020年5月末で資金が枯渇する恐れが生じたため、町は同月、1億円の出資と、金融機関から融資を受けるための1億円上限の債務負担行為を町議会臨時会に提案。「出資は今回限り」との付帯決議とともに可決された。

 だがその後も深刻な経営が続き、21年3月期の決算も1億1209万円の赤字となった。町からの出資金は底をついた形だ。

 町はコロナ禍以外の経営悪化の要因として、公衆浴場の営業と公園などの管理の2事業を挙げる。ハイウェイオアシスは町の所有だが、運営する同社に町からの指定管理料はなく、逆に同社が町に使用料を納めていた。施設全体を活用して利益を捻出していたものの、公衆浴場と公園などの管理は収益性に乏しく、負担なのが実情。経営の悪化に伴い使用料は減額され、昨年度は免除された。

 町は、この2事業の指定管理料2600万円を盛り込んだ21年度一般会計当初予算を町議会3月定例会に提案。松浦敬治町長は「公共性が高いため管理料を払って維持することにした」と説明したが、公費投入には町議から批判が相次いだ。本会議では「昨年5月の付帯決議に反し、町財政に悪影響を与える」との意見が出されたものの、議長を除く13人で採決した結果、賛成7人、反対6人で可決された。

 コロナ禍の中では、別会社が指定管理者として手を挙げる可能性は極めて低い。町は過去の組織の在り方が問題だったとした上で、同社は地域活性化に必要な組織と位置付ける。

 もし全館休業になった場合、施設の維持管理費に年間約6千万円がかかる見通しで、町には経営支援の出資金や施設の改修費として6億4770万円の償還額が残る。町負担が3割で済む国の過疎債を活用しているとはいえ、町財政に重くのしかかる。

 松浦町長は「たとえ赤字が出ても、施設は営利目的のみではなく、観光の拠点や地元雇用の意味を持っており、町にとって必要。休むことは考えられない」とし、施設閉鎖は選択肢としない考えだ。

 しかし公費を投入する以上、再建の道筋を示して実績を積み重ね、町民の理解を得ることは欠かせない。同社の経営改善計画書は、25年3月期に単年度黒字の達成を目指すとしている。実現できなければ、同社は存続を問われる。

吉野川オアシスを巡る動き 

 2019年5月 18年度決算で純損失4477万円。元社長が退任し、松浦敬治町長が代表取締役に就任 

    12月 吉野川オアシスの中間決算報告。町が依頼した経営診断で赤字の要因を指摘される

  20年4月 吉野川ハイウェイオアシスが緊急事態宣言の影響で休業

    5月 町議会臨時会で、付帯決議付きで1億円の出資と1億円上限の債務負担行為を可決

    同月 五十畑哲(いそはた・さとし)新代表取締役が就任。19年度決算で純損失が過去最大の2億655万円に。累積赤字は3億1043万円

    7月 緊急事態宣言で休業していた吉野川ハイウェイオアシスが再開

    12月 地域住民でつくる「吉野川オアシス(株)の経営を明らかにする町民の会」が住民監査請求

  21年1月 町監査委員が「町民の会」の監査請求を却下・棄却

    3月 「町民の会」が、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める陳情書を提出

    同月 町議会が同陳情書を継続審査に。町議会が吉野川オアシスへの指定管理料2600万円を含む21年度一般会計当初予算を可決

    4月 民間金融機関が同社へ融資。吉野川オアシスが元社長に損害賠償を求め提訴

    5月 20年度決算で純損失が1億1209万円に。累積赤字は4億2253万円