きょうから英国で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に、国際協調路線を推進するバイデン米大統領が初めて出席する。

 中国の台頭で民主主義や自由市場経済が脅かされ、その同じ価値を共有するG7も、「米国第一」主義を掲げるトランプ前政権によって亀裂が生じている。

 米国が民主主義陣営のリーダーとしての地位を回復し、G7の存在感を高めることができるか。バイデン氏の力量が試されよう。

 世界が直面する課題は、安全保障や新型コロナウイルス対応、経済、気候変動など多岐にわたる。サミットではそれぞれに具体策を示すとともに、G7主導による新たな国際秩序の構築に向けた力強いメッセージを打ち出してもらいたい。

 最大の焦点は、日米が主張する対中国政策で結束できるかだ。

 5月のG7外相会議では、共同声明で中国に対し「重大な懸念」を表明。「台湾海峡の平和と安定の重要性」にも言及した。東・南シナ海での軍事力拡大や新疆ウイグル自治区での人権状況などを巡っても、「共通のアプローチ」を模索する姿勢が示された。

 ただ、対中姿勢にはG7内にばらつきがある。経済的な利益を重視する一部の国は中国からの報復を恐れ、厳しい表現を用いることに抵抗したとされる。

 足並みが乱れれば強固な「対中包囲網」は築けない。バイデン氏の調整力に期待したい。

 対中問題では途上国への支援策も急がれる。

 中国は巨大経済圏構想「一帯一路」に基づくインフラ開発を通じ、アジアから中東、アフリカまでの広い地域で影響力を拡大。さらに、独自のワクチン外交も展開し、途上国などへの浸透を図っている。

 このため、バイデン氏は「一帯一路」に対抗する途上国支援を軸にした構想を提案する。新たなワクチン戦略やパンデミック(世界的大流行)を終わらせるための包括的な計画も発表する方針という。実現すれば中国依存の状況は大きく変わってこよう。

 初めての参加となる菅義偉首相に問われるのは、コロナ禍での東京五輪・パラリンピック開催についての発信力だ。

 開催による感染再拡大を指摘する声は少なくない。それでも、首相は国民に開催意義や具体的な感染対策を示さず、「安全安心を前提に」と述べるばかりだ。各国首脳にも同様の説明で済ますのだろうか。

 パンデミック時の開催国のリーダーとして、どのような覚悟で危機に向き合おうとしているのか。世界が注視していることを首相は認識すべきだ。