吉野川ハイウェイオアシスにオープンした「お食事処 つむぎ」。直営飲食店の再開は経営再建計画の一つだ=東みよし町足代

 天ぷら膳や阿波尾鶏の唐揚げ膳などの料理がテーブルに運ばれていく。東みよし町の第三セクター「吉野川オアシス」が運営する吉野川ハイウェイオアシス(同町足代)に5月中旬、直営の飲食店「お食事処 つむぎ」がプレオープンした。今月6日から正式な営業を始め、施設別館に、約1年ぶりに食事客が戻って来た。

 直営飲食店の再開は再建に向けた計画のうちの一つ。別館には昨年4月までレストランが入っていたが緊急事態宣言が出たのを機に休止し、同社は直営の飲食事業から撤退していた。テナント誘致を目指していたものの実現せず、飲食店経営のノウハウがある職員が加わったため直営を再開した。

 町が専門家に依頼した経営診断では、飲食部門の原価管理の弱さから収益を上げられていないとの指摘を受けた。こうした問題点を踏まえ、食材費を抑えることに加え、在庫管理を徹底してロスを減らす。

 経営再建に向けては直営飲食店の再開のほか、人件費の削減や公衆浴場の料金見直し、2階空きスペースを活用したコワーキング(協働)スペースの開設を、同社の経営改善計画書で示す。また30~40代の女性をターゲットにし、高級スーパー「成城石井」コーナーの開設やフィットネス事業も始めた。計画書では2025年3月期に経常黒字に転換し、31年3月期には債務超過の解消を目指す。

 4億円以上の赤字を抱える社が、新型コロナウイルスの収束が見通せない中で本当に再建できるのか、疑問の声もある。町議会では、町議から「計画のビジョンが甘い」「目標や方針が不透明だ」などの指摘が相次いだ。

 地域住民でつくる「吉野川オアシス(株)の経営を明らかにする町民の会」事務局の金丸忠雄さん(69)は「実際は赤字を出しているのに、施設の公共性に言及して問題をすり替えているように思う。町の公費を投入して金がかかるばかりで、展望が見えない」と、町民への負担を危惧する。

 前途は多難ながらも、同社はエシカル(倫理的)消費をテーマに仕入れた商品で差別化を進め、ハイウェイオアシスの目的地化を狙う。オリジナル商品開発や藍染の体験型サービスも導入する。五十畑哲(いそはたさとし)代表取締役は「ここに来る理由をつくらないといけない。仕入れの力を強みに進めることが生きる道だ」と言う。

 長年、ずさんな経営状況を見抜けなかったチェック体制の改善も重要だ。これまで監査役は町議と金融機関が、取締役は議長や町長らが務めてきた。チェックするのが身内である上、経営方針などを議論する取締役会は年1回しか開かれておらず、放漫経営の温床となっていた。

 町はこの反省から、税理士や経営指導員らで構成する第三セクター等経営検討委員会を設置。経営状況や施設の活用について議論するほか、公認会計士らによる専門的な外部監査の制度を設けた。指定管理期間も従来の5年間から1年間に短縮している。

 チェック体制の強化を図ったとはいえ、それだけで十分ではない。ハイウェイオアシスの公衆浴場などの指定管理料について議論された3月定例会では、町議会に計画の十分な説明がないまま可決された感が否めなかった。同じ過ちを繰り返さないためにも、町と議会、同社、地域住民が連携して施設の存在意義を見直し、経営に厳しい目を向け続けることが求められる。