徳島市が交付している宣誓書受領証カードのサンプル

 県内でLGBTなど性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入した徳島、吉野川両市と北島町のうち、証明書に当たる宣誓書受領証カードの交付が、1日時点で徳島市の5件にとどまっている。利用できる行政サービスが少ない上、3市町しかないため認知度の低さが背景にあるとみられる。当事者からは市町で申請の際、「知人に会うかもしれない」とためらう声もあり、支援団体はどの自治体の住民でもサービスが受けられるよう県による制度化を求めている。

 昨年4月に県内で初めて導入した徳島市は、最初の1カ月でカードを3件交付した。だがその後は伸び悩み、現在は電話での問い合わせも月1件ほどしかない。

 当初は市民病院での手術の同意や国民健康保険の手続きなど、カードがなくても利用できるサービスが大半だった。利便性を高めるため、市は今年2月から同居の子どもも家族と認める「ファミリーシップ」を含め、市営墓地の使用権継承や母子健康手帳の代理申請など7件を追加した。しかし2月以降も新たな交付はない。

 市人権推進課の担当者は「行政サービスの拡充はもちろんだが、携帯電話の家族割適用や生命保険の受け取りといった民間サービスも限られている点が影響しているのではないか」と話す。

 1月に導入した吉野川市は、利用可能なサービスが市営住宅の同居と金婚・ダイヤモンド婚の表彰の2件のみ。4月から始めた北島町は利用できるサービスがなく、町住民課は「先行する自治体も少なく、(交付ゼロは)こういうものだと受け止めている」としている。

 性的少数者の当事者らでつくる「レインボーとくしまの会」の長坂航代表(43)は、2019年9月に会を立ち上げて以降、県内全市町村の首長や議会議長と会って制度導入を要請してきた。しかし「(自治体内に)性的少数者は住んでいない」と反論する首長らもいるという。

 3市町に住民票がないと申請できないが、会の100人以上の当事者は、3市町以外に住む人もいる。3市町の居住者でも、申請・交付は2人で行く必要があるため「市役所で職場の同僚や知人に会わないか心配だ」とためらう声が少なくないという。長坂代表は「県民の理解を深めて申請しやすくするためにも、県が制度を創設してほしい」と話している。

 パートナーシップ宣誓制度 自治体が性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と認め、証明書を発行する制度。2015年に東京都渋谷区と世田谷区が国内で初めて導入し、1日時点で3府県を含む106自治体に広がる。公立病院でパートナーの病状の説明を受けられるなど各自治体が定めた行政サービスが利用できるほか、携帯電話の家族割引といった民間サービスが適用されることもある。県内では鳴門、美馬市が導入の方針を示している。