さては法月弦之丞、いよいよ舞台を阿波へと移し、密命を帯びた隠密行も、ついにクライマックスへ。NHK・BSプレミアムで放送中の時代劇「鳴門秘帖」(全10話)が面白い

 幕府転覆の密謀を探る弦之丞、行く手を阻む阿波の侍。甲賀は旅川周馬の横恋慕、見返りお綱に目明かし万吉、なぜか平賀源内。都合良すぎる出会いも随所に、個性あふれる人物が次々登場する

 善人は善人らしく、悪人はとことん悪人らしい。往年の時代劇の基本を押さえた大活劇。吉川英治の長編の、講談調のリズムさながら、ドラマは勢いよく進む。「二刀流ということもあり、殺陣を覚えるのが大変だった」と、来県した弦之丞役の山本耕史さん

 小説は全くの創作ながら、黒幕とされた蜂須賀重喜は、徳島藩10代藩主、実在の人物である。巨額の債務を抱えた藩の財政再建に乗り出し、率先垂範、自らの生活費を削り、ぜいたくを戒めるも失敗。1769年、30そこそこの若さで幕府から隠居を命じられた

 同時代、尊王論者が処罰された宝暦事件が起きている。物語はその辺から着想を得たらしい。隠居後は一転、道楽にふけった。恨みを買ったか、「阿淡夢物語」などでは散々な書かれよう

 さて、弦之丞と千絵の恋の行方は、剣山の牢屋に閉じ込められた世阿弥の運命は…。続きはテレビか、原作か。