子どもが生まれた直後、夫が取得可能な「出生時育児休業(男性版産休)」の新設を盛り込んだ改正育児・介護休業法が成立した。

 夫に家事や育児への参加を促す狙いだ。仕事と子育てが両立できる社会を実現し、少子化に歯止めをかけるためには、職場環境の改善が欠かせない。

 男性版産休は、子どもの誕生後8週間以内に夫が1回か2回取得でき、計4週間分の休みがとれる。育児休業給付金などで賃金の実質8割を保障する内容だ。

 同時に、通常の育休も見直された。これまでは原則として子どもが1歳になるまでに1回しか取れなかったが、夫婦それぞれ2回まで分割して取れるようにした。男性版産休と合わせると、夫は最大4回まで休めるようになる。

 出産後の女性は心身の不調に見舞われやすいといわれる。夫のサポートがあれば、妻の負担を軽減できよう。共働きの夫婦が交互に休むなど選択の幅が広がった点は評価できる。

 男性の育休取得は少しずつ増えているものの、目標の30%には程遠い。

 2019年度の育休取得率は女性の83・0%に対し、男性は7・48%にとどまる。キャリア形成に及ぼす心配や同僚らへの遠慮が取得を思いとどまらせていることは想像に難くない。

 育児制度を利用した男性の4人に1人が上司らから「パタニティーハラスメント」を受けたとの調査もある。育休を取得したくてもできない風土が企業内にはびこっているのは明白だ。

 今後、問われるのは企業の姿勢である。

 改正法は企業に対し、子どもが生まれる従業員に育休取得を働きかけることも義務付けた。制度の説明や取得の意思を一人一人に確認することを求める。

 とはいえ、休むかどうかを最終的に決めるのはあくまでも本人だ。改正法が実効性を伴うものとなるよう研修などを通じて管理職らの意識改革を促し、休みやすい環境を整えていく必要がある。

 一方、従業員千人超の企業には社員の育休取得状況を公表させる。取得を促す上で、一定の効果が期待できよう。

 しかし、社会全体の流れにつなげるためには、対象を広げる必要があるのではないか。企業は働き方改革と絡め、代替要員の確保などの問題を解決するよう努力してもらいたい。

 もとより、少子化を食い止めるためには、育休取得の推進だけでは不十分である。妊娠や出産、育児にかかる費用負担の軽減、保育や預かりサービスの充実などが不可欠だ。未婚化、晩婚化対策も一層、推し進めるべきだ。