14日の徳島市議会6月定例会の代表質問で、渡邊亜由美氏(共産)がアミコビルを運営する市の第三セクター・徳島都市開発に対する20億円の融資について詳細な説明を求めた。そごう徳島店閉店後の新規店舗数のほか、既存店や新たに入居する県青少年センターの賃料、そごう跡のビル東館の管理やテナント誘致などを担う総合不動産サービス大手「ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)」との委託料や委託期間を尋ねた。

アミコビル。そごう徳島店閉店後の行方が注目されている=徳島市

 主なやりとりは次の通り。

渡邊亜由美氏(共産)「保証人は私たち市民。(20億円は)何に使うのか。返せる見込みはあるのか。本来なら詳細な資料を示して市民に納得のいく説明をすべきだ」

 1月の臨時会でアミコビルを運営する徳島都市開発への支援金として2020年度、2021年度に10億円ずつ計20億円の貸し付けを行うという議案が出された。前もって資料を要求したのにもかかわらず、配られたのは委員会の直前。しかも、貸し付けが妥当かどうか、判断できる資料ではなかった。委員会には徳島都市開発の鈴江社長も出席した。

 貸付金でアミコビルは再生するのか、貸付金は返済されるのか。経営状況や返済計画について質問したが、納得する説明はなかった。議論のしようがない状況にもかかわらず、数時間後に採決が行われた。貸し付けが妥当かどうか、金融機関でも判断できないでしょう。

 委員会は賛成多数で通過した。本会議は共産、自民、無所属の11名が反対したが、賛成多数で通った。これでは貸し付けありきの強行突破。

 昨年8月、そごうが閉店した。徳島都市開発は賃貸契約が終了したそごうに敷金を返す必要があった。しかし、預かり金である敷金さえ手元になく、そごうに支払いを延期してもらっていた。徳島都市開発の経営はそごうの経営悪化とともに悪くなり、2009年に徳島市は2億3300万円の貸し付けをしている。その貸し付けはまだ半分以上返済が残っており、返済期限の延期まで行っている。過去の貸し付けを計画通り返済できない会社に20億円もの貸し付けをする。これを決めてしまった。徳島都市開発の取締役には金融機関が7社も入っている。

 しかし、どこからも借りられないため、徳島市に依頼にきたわけだ。債務超過で、経営破綻寸前。会社に残っている資産をすべて売り払っても借金を返せない会社に、金融機関は貸さない。ところが徳島市は担保なし、保証人なしで貸すという。返済されなければ、穴埋めは私たちの税金。税金は上がり、市民サービスは削られるだろう。保証人は私たち市民。何に使うのか。返せる見込みはあるのか。本来なら詳細な資料を示して市民に納得のいく説明をすべきだ。

 

「そごう撤退前のアミコビル全体の賃貸料収入は約10億円。これが2024年には約13億円に増える見通し。新規テナントの数と店舗名は。既存店や三越、青少年センターに値下げ前の賃料が適用されるのか」(渡邊氏)

 改めて聞く。まず、20億円の使い道をお答えください。返済計画について聞く。収入がないと返済できない。収支の実績と計画をみると、そごう撤退前のアミコビル全体の賃貸料収入は約10億円。これが2024年には約13億円に増える見通しになっている。

 年間約3億円増える理由を、鈴江社長は、まちづくり対策特別委員会でこのように答えている。「アミコビルのフロアがほぼ満室になったことが前提。そごうが経営破綻したときから賃料の値下げを行ってきたが、今回、当然家賃が復活する」と明言したが、その見通しは確かなのか。そごう閉店後、誘致した新規テナントの店舗数、店舗名は。またどこが誘致を行ったのか。

 値下げしたそごうの賃貸料が復活する(値下げ前に戻る)とのことだが、既存店舗、三越、移転する県青少年センターなど、すべて復活後(値下げ前)の賃貸料になるのか。

 

「JLLへの委託金額と委託期間は」(渡邊氏)

 都市開発の費用について。昨年8月からJLLに業務委託している。7月に落札し、委託内容はテナント誘致やテナント運営、管理業務などのようだ。委託料は鈴江社長とのやり取りによると、管理費に入っているとのこと。管理費は営業費用のうちほぼ3分の2で、大部分を占める。都市開発は債務超過で破綻寸前。JLLにいくら払っているのか。また、いつまで契約しているのか。JLLの委託料と委託期間をお答えください。

 

飯田博司企画政策部長「貸し付け済みの10億円は設備投資費や運転資金」

 20億円の使い道について、徳島市は2022年10月のグランドオープンに必要な資金として貸し付けを行うこととし、貸し付け済みの10億円についてはフロア改修などの設備投資費用や、資金繰りの安定化を図るための運転資金に充てているとのことだ。

 

「誘致したゼットファクトリー、徳島魚類、きつね寿し縁を含めビル全体で110店舗等が営業。高松三越の出店が正式決定」(飯田企画政策部長)

 そごう閉店後のテナント誘致状況については、そごう徳島店閉店後、新たに誘致にしたZ Factory(ゼットファクトリー)、徳島魚類、きつね寿し縁を含め、アミコビル全体で110を超える店舗等が営業している。また、公共施設として県青少年センターの機能移転が決定している。さらに、アミコビルの新たな核テナントとして誘致に取り組んだ株式会社三越伊勢丹HDについて出店協議が整い、6月7日、株式会社高松三越の出店が正式に決定した。

 テナント誘致については、徳島都市開発株式会社が主体となり、不動産運営管理の委託事業者とともに誘致活動や出店交渉を行っている。

 

「そごうへの家賃減額措置は閉店に伴い終了」「秘密保持規定によりJLLへの委託料等は開示できない」(飯田企画政策部長)

 アミコビルの賃貸料についてはそごうグループの経営破綻に伴い、2001年以降、そごう徳島店に対して家賃の減額措置が講じられていたが、同店の閉店に伴い既に終了している。

 最後に、徳島都市開発とJLLとの契約については秘密保持の規定により、委託料や委託期間については第3者に提供できないものと聞いている。

 

渡邊氏「ざっくりとした返事ではチェックできない」

 20億円の貸し付けの使い道を聞いた。先に貸し付けた10億円は設備投資、運転資金に使い、もう半分の10億円にはまったく答えがない。これまで何度質問しても、ざっくりとした返事しか返ってこない。詳細な資料もない。これでは使い道に無駄はないのか、本当に20億円が必要なのか、チェックのしようがない。

 「2024年にアミコビルがほぼ満室になる」という見通しについて聞いた。そごう閉店後に新規オープンしたのはゼットファクトリー、徳島魚類、きつね寿し縁の3店舗だけのようだ。三越はこれまで今年9月に出店するとの説明があったが、先日の報道ではこの秋にオープンするのは2階のみ、5階は来年春になるということ。値下げしていた賃貸料の復活(元に戻すのか)については、既存店舗や三越、県青少年センターに関して明確な返事はない。

 鈴江社長は「2024年にアミコビルがほぼ満室になり、値下げしていたそごう賃貸料はほぼ復活する。年間3億円の賃貸収入が増える」と委員会で答えたが、この見通しの根拠について信用できる説明がない。

 委託料、委託期間についてはこれまで同様、都市開発とJLLの秘密保持を理由に答えがない。3月12日の建設委員会で第2副市長は「情報開示を徳島都市開発に要請していきたい」としたが、今回も答えがいただけなかった。貸付相手の情報が保証人同然の市民に公開されない。こんな不透明な貸し付けが納得できるだろうか。

 

「担保できるならどのような物件か。貸し付け以外に民事再生法などの検討はしたか」(渡邊氏)

 4月2日には市民オンブズマンから2020年度の貸し付け10億円について住民監査請求が出された。結果報告の内容について伺う。

 まず、市民オンブズマンは「貸付金の回収を担保する手段が取られていない」と言っている。これに対して市は「今回の融資は徳島都市開発の経営安定化を図ることを目的としており、市が担保設定をすることで、本件貸し付けの目的を損なう懸念があるから設定を行わない」と答えている。ということは、設定できる担保があるということになるが、それはどのような物件か。

 次に市民オンブズマンは「貸し付けの代替案の検討がされていない」としている。監査結果は「本貸付の判断過程で代替案の検討が具体的に行われたのかどうかを明確に判定するに至らなかった」と判断している。そこで伺う。貸し付け以外にも民事再生法などの比較検討は行なったのか。行った場合は、いつ、どのようなメンバーで行ったのか。その内容もお答えください。

 

内藤佐和子市長「都市開発が所有する土地建物が担保の対象。しかし、金融機関の融資にかかる抵当が設定されており、抵当権の順位は下位に。三セクとしての安定性を高めるための貸し付けで担保設定なしに」

 まず担保物権について、貸し付けに際し、設定の対象は徳島都市開発が所有する土地、建物となる。これについては金融機関等の融資にかかる抵当権が設定されている。ここで抵当権を設定しても、抵当権の順位としては下位。加えて設定には高額の費用がかかる。

 ちなみに経営者保証についても、中小企業庁からの経営者保証のガイドラインにのっとり、遠藤前市長、一宮前社長の時代から保証を求めないものとして決定していると申し添える。

 なお、本市の貸し付けについては徳島都市開発の設立経緯を踏まえ、第三セクターとしての安全性、安定性を高め、自身による資金調達を可能とするため貸し付けを行うものであり、担保を設定しなかった。

 

「貸し付けをしない場合の比較検討は前市政で実施。民事再生などでは公共施設やテナントの維持管理が困難としている」「前市政で商業施設として存続させる方向性」(内藤市長)

 貸し付けをしない場合の比較検討の有無については前市長時代の2019年11年、当時の担当課において、第三セクターの経営健全化についての話し合いが行われ、その際、破産や民事再生といった破綻処理については公共施設やテナントの維持管理が困難になること、アミコビルの荒廃につながるなどの問題が挙げられている。

 一方、公的支援については、徳島都市開発は本市から独立した事業主体として公共性、公益性が高い事業を行う法人で、その経営は原則として自助努力により行われるべきではあるが、性質上、会社の収入をもって充てることができない経費及び会社が能率的な経営を行っても客観的に困難と認められる経費については公的支援もやむを得ないと考えるとされている。

 実際、その後、2019年12月17日に徳島都市開発と「デロイトトーマツ・ファイナンシャルアドバイザリー合同会社」との間で、テナント戦略策定支援業務の委託契約が締結され、2020年3月24日にはアミコビルのテナント戦略の方向性を前市長、前社長が同席で公表し、テナント誘致などを担う不動産管理運営会社の公募選定に着手するなど、この時点で商業施設として存続させる方向性は示されていた。

 

「アミコビルや都市開発の再生を私に期待しているとの声」(内藤市長)

 先日の徳島新聞「読者の手紙」にも、アミコビルや徳島都市開発の再生を私に期待しているという旨の話があった。この件については市民県民の関心が高いと痛感している。私が生まれたときにはオープンしていたアミコビル。自分が当時の市長なら、もう少し設備投資を少ない金額で行ったのではないかとは思うが、今既にあるものについて過去を振り返っても仕方ないので、今後の徳島駅前、中心市街地の重要性を鑑み、私が先頭に立って街づくりにまい進していきたい。

 

渡邊氏「追加融資は絶対行わないよう要望する」

 市民オンブズマンに対し、「担保設定を行わなかった」と説明しているが、担保設定できる土地、建物は既に金融機関に押さえられているとのことで、やはり担保はないということ。貸し付けは徳島都市開発自身による資金調達を可能とするために行う。それならば追加融資は絶対に行わないよう強く要望する。

 貸し付けをしない場合の比較検討についての説明では、貸し付けを決めた内藤市長就任後のことがまったく出てこない。先日、アミコビルの実態をよく知る権利者から話を聞いた。

 「『以前はそごうの区画はそごうが管理していたので、代わりにJLLを管理会社に』と徳島都市開発は言うが、それは大間違いだ」と言っている。「そごうは、そごうとして徳島都市開発に高額な賃貸料を払っていた。また、そごうはそごうとして、契約するそごう内の店舗を管理していた。これは徳島都市開発がアミコ専門店街を管理するのと同じことだ。そごう撤退後、本来は徳島都市開発が管理運営すべき業務をJLLに高額なお金を払ってさせている。JLLは30軒の店舗管理、徳島都市開発は従来より社員が増えているのに27軒 のアミコ専門店の既存店舗を管理しているだけ。都市開発は税金をドブに捨てるような会社だ。これを市民はどう思うのか」と言っている。

 出店が発表された三越については、「市民が歓迎しているかのような報道がなされている が、現場、関係者の見方は違う」と言う。「高松三越が入るのは2階、5階の一部で、後は不定期の催しだけ。もちろん小さな規模でも空き店舗よりはいいけれど、徳島都市開発の土下座交渉で三越の賃料はとんでもなく安いと聞いている」。

 これが事実なら、「値下げしていたそごうの賃貸料が復活する」と答えた鈴江社長の主張と矛盾する。

 

「貸し付けがおかしいと言っているのはなく、説明を求めている」(渡邊氏)

3月議会本会議で、内藤市長は「貸し付けの道筋をつけたのは遠藤前市長」と発言したが、20億円の貸し付け問題は内藤市政で起きている。情報公開を拒む都市開発の鈴江氏は、内藤市長就任後、社長になった。市民を保証人にし、貸し付けを決めたのは内藤市長。貸し付けするのがおかしいと言っているのではなく、おかしな貸し付けだから説明を求めている。

また貸し付けは駅前活性化のためというが、新駅が検討されている。新駅がつくられ、徳島駅が通過点になれば、ますます駅前が寂れ、アミコビルの再生と矛盾する。一体何がしたいのかと多くの市民が疑問に思っている。