富岡東中・高が作成した部活動の感染対策ガイドライン(右)と、部活動前に記入する健康調査票

 「気持ちに緩みがあったわけではないが、(新型コロナウイルスの)集団感染を防ぐだけの対策は徹底できていなかった」。4、5月に生徒らの関連クラスター(感染者集団)が発生した富岡東中・高校(徳島県阿南市)の宮井玲夫校長は当時を振り返った。

 最初の感染者が確認されたのは4月21日。職員や家族らに広がり、5月6日まで断続的に陽性者が確認された。学校は9日までの19日間、臨時休校となった。

 累計の感染者は68人。うち生徒の感染は43人(中学生5人、高校生38人)、教職員と学校関係者は6人に上った。生徒のほとんどが屋内の運動部や文化部に所属し、部活動で広がったとみられる。

 富岡東中・高では昨年度から生徒や教職員らに対し、健康管理や手指消毒、マスクの着用、施設の換気などの基本的な対策を徹底するよう指導。クラスターに関係した屋内の運動部は、練習前の体調確認、手指や用具の消毒などに取り組んでいた。

 ただ、練習中に掛け声を発したり、顧問が指示を出す際に部員を集めたりすることはあったという。宮井校長は「練習前後や休憩時にもマスクを着用するとか、練習後は速やかに帰宅する、といった細かい点まで徹底できていたわけではない」と話す。

 新型コロナの「第4波」では変異株が拡大。それまでの傾向と異なり、小中高校生の感染が目立つようになった。宮井校長は「変異株の感染力の強さを痛感する。ありとあらゆる対策を講じないと集団感染を防ぐのは難しい」と言う。

 クラスター発生を教訓に、富岡東中・高の感染対策はより細やかになった。

 5月10日の学校再開を前に、部活動の顧問や管理職が再発防止策を協議。中学・高校の全ての部活動で独自の感染対策ガイドラインを作った。競技や活動の実情を踏まえ、感染リスクを回避する練習方法や部室利用時の人数制限などを細かく決めた。

 このほか、全ての部に非接触型検温器を配り、活動前の体調を健康調査票に記入するよう改善。練習中もスポーツ用マスクを熱中症に考慮しながら着用するようにし、室内の換気を効率よく行うため大型扇風機も使う。週末は複数の部が同時に同じ施設で練習しないよう時間をずらす。

 「ただ、必ず感染を防げるという保証はない。全ての人が常に意識を高め、少しの異変も見過ごさないよう、できることを一つずつ実行するしかない」。宮井校長は生徒や保護者には毎朝、登校までに体温や健康状態をメールで送るよう求め、朝のホームルーム時には校内放送で予防の徹底を呼び掛ける。

 クラスターを再び起こさないための試みは始まったばかりだ。

◆ ◆ ◆

 新型コロナウイルスの流行「第4波」で、県内では4、5月に感染者数が爆発的に増加した。感染拡大の影響を受けた現場で何が起こっていたのか。関係者の証言から振り返り、課題を探った。