エルサルバドルの大学で教育・研究用に活用される小水力発電機(喜多機械産業提供)

 建設機械卸販売・リースの喜多機械産業(徳島市)が技術協力して開発した小水力発電機が6月中旬、中米・エルサルバドルの3大学に設置される。政府開発援助(ODA)の一環で、山地が多い同国での導入に向けた技術教育や研究に使用される。同社の海外支援事業は2013年10月のフィリピン、15年11月のミャンマーに続いて3カ国目。

 設置されるのは首都サンサルバドルのエルサルバドル、セントロアメリカナ、ドン・ボスコの各大学。

 発電機は喜多機械が開発に協力した、デンヨー(東京)製の出力5キロワットと、阿南高専発ベンチャー企業・バンブーケミカル研究所(阿南市)製の同0・8キロワットなど計4台。各大学の研究スペースに搬入され、発電できるよう人工的に水流を発生させる装置を取り付けて、学生が仕組みや原理などを学ぶ。喜多機械の社員が6月中旬に現地に入り、設置を指導する。

 ODAに必要な資機材などの調達を行う一般財団法人・日本国際協力システム(東京)の事業で、総事業費は6240万円。喜多機械は昨年7月、発電機の発注先を決める入札に参加した。

 同社は、天候の影響を比較的受けにくい小水力発電をベースに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを組み合わせ、未電化地域や過疎地での電力の「自給自足」を図る事業への参入を目指している。

 海外ではこれまでにフィリピンとミャンマーで滝や水路に小水力発電機を設置し、家庭や学校の照明、集会所の電源などに役立ててきた。開発営業部は「海外支援の取り組みが、今後のさまざまなシステムの提案にも生かせれば」としている。