建機大手コマツの元社長で、昨年12月に生前葬を開いて話題となった安崎暁(あんざき・さとる)さんが26日午前4時39分、胆のうがんのため自宅で死去した。81歳、徳島県出身。葬儀・告別式は親族だけで行った。
1961年に小松製作所(現コマツ)に入社。主に海外事業畑を歩み、国際事業本部長などを経て95年から2001年まで社長。会長や相談役を歴任し、国家公安委員会の委員も務めた。
昨年11月、徳島新聞などの新聞広告でがんであることを公表し、「残された時間をクオリティー・オブ・ライフ(人生の質)優先にしたい」と、延命治療を受けない考えを明らかにした。12月には東京都内のホテルで生前葬に当たる「感謝の会」を開き、約千人が集まった。大企業の元トップによる生前葬は珍しく、自分らしい人生の最期を探る「終活」のあり方を考える機会として、大きな反響を呼んだ。
東京生まれだが、戦後、徳島県藍住町出身の父親の姉を頼り、小学3年から中学3年まで同県鴨島町(現吉野川市)で過ごした。東京徳島県人会長を08年から4年間務め、12年に同名誉会長に就任。06年から10年間、吉野川市の小中学校教員を海外に派遣する「海外教育見聞事業」に私費を投じるなど、古里への貢献活動にも取り組んだ。