当初から必要性が疑問視された制度であり、廃止するのが妥当ではないか。

 教員免許の更新制のことだ。萩生田光一文部科学相が中央教育審議会(文科相の諮問機関)に諮問し、見直しの議論が始まった。

 制度は、自民党文教族議員らの「指導力不足教員の排除」の掛け声が発端となった。議論の末「教員の資質向上のため、最新の知識を身に付ける」ことに目的が変わり、2009年度に導入された。

 教員免許に10年間の有効期限を設け、期限前の2年間に大学などで30時間以上の講習を受けなければならない。免許失効後に職場復帰するには講習を受けて免許を再取得し、改めて採用試験を受ける必要がある。

 文科相は諮問の理由に教員の多忙化を挙げる。だが、弊害は当初から指摘されていた。制度見直しは遅きに失したと言えよう。

 何より、講習を受ける教員の負担が大きい。長時間労働の合間の休日を利用しなければならない上、交通費、受講料は自己負担。地元の大学で開かれる講習枠が埋まっていれば、県外へ出向かなければならず、旅費、宿泊費がかさむ。不満が出るのは当然だろう。

 役立ちそうな講習の競争率は高い。やむなく空きがある講習を受けて、予想に反して視野が広がる場合もあるが、大学教員の専門分野の話を聞くだけで、現場で直面する課題を踏まえた内容になっていないとの声も聞かれる。大学側にも負担感は強いようだ。

 教員に対しては、各教育委員会などが工夫を凝らした研修を実施している。徳島県教委も、採用前、新任時、1年終了時、4年終了時、9年終了時、15年終了時など、きめ細かなメニューを組んでいる。情報通信技術(ICT)活用や小学校での英語教育など新たな指導項目の研修もある。

 さまざまな勉強会に自主的に参加する教員も少なくない。免許更新の講習がなくなっても教育力が低下することはあるまい。

 弊害として見逃せないのが、現場教員の不足を招いていることだ。

 退職まで残り少なくなって更新時期を迎えた教員の中には、負担感から更新を断念する人がいる。早期退職した教員が免許を更新していなければ、産休や育休の代替教員として雇えない。更新手続きを忘れて失職する「うっかり失効」も後を絶たず、制度が現場を混乱させている。

 そんな状況で教員の働き方改革が進むはずがない。落ち込んだ教員志望の学生を増やすのも困難ではないか。文科省は現場の実態を直視し、子どものために、教員の負担を軽減させるべきである。