ワクチン接種の予約が取れず、徳島市役所の相談コーナーに詰め掛けた高齢者=5月20日

 徳島市で優先接種対象者を除く65歳以上の新型コロナウイルスワクチンの接種予約が始まった5月20日、市役所の相談コーナーには、予約がうまくいかなかった高齢者が朝から詰め掛けた。

 「電話がつながらん。どないなっとん」「ここで予約してもらえんだろうか」。職員は不満や怒りをぶつける市民への対応に追われた。

 この日受け付けを始めたのは、全対象者の4割に当たる約3万人分。インターネットの予約枠は午前9時すぎには埋まり、コールセンターは終日つながりにくい状態が続いた。

 70代男性は、自宅のパソコンと電話で予約を試みたが断念した。「『早い者勝ち』のような状況になれば予約が集中するのは当たり前。接種日を割り振り、都合の悪い人だけ変更するやり方を採用しても良かったのではないか」と苦言を呈した。

 医療機関の「事前予約」も、混乱に拍車を掛ける一因となった。

 一部の医療機関では、市の受け付けとは別に、かかりつけ医の判断で重症化しやすい患者に早く接種できるよう、5月20日より前から予約に応じた。

 市は市医師会との協議で、医療機関での直接予約を認めていた。広報紙では、持病などを抱える市民に対し「かかりつけ医に相談してから予約してください」と促していた。

 しかし、予約受け付けがスタートする段階で公式に案内した予約方法はコールセンターと専用サイトの2種類のみ。これらの方法で予約できなかった市民らからは「不公平だ」との声が上がった。

 市健康長寿課の田村茂生課長は「混乱を招いたのは事実で、広報が十分でなかったのが一因」と不備を認める。

 市は6月7日の予約再開に向け、情報の発信方法を改善。ホームページと広報紙に、一部のかかりつけ医でも受け付けると明記した。35回線だったコールセンターの回線数も45回線に増設。県が用意した分と合わせて計100回線で対応し、大きな混乱はなかった。

 高齢者向けの接種予約に関しては、他の市町村でも混乱があった。

 徳島新聞のまとめ(5月18日時点)では、徳島市を除く23市町村のうち、鳴門、小松島、阿南など7市と石井、那賀、北島など12町村が「電話がつながらないという苦情があった」と回答。専用ウェブサイトで予約を受け付けた17市町村でも、一部を除いて「サイトにつながらない」などの声が寄せられた。コールセンターの回線を急きょ増設したり、予約用のスマートフォンを用意して職員が作業を補助したりする自治体もあった。

 今後、64歳以下を対象とした一般接種が本格化する。10万人以上が対象となる徳島市では混乱を避けるため、年齢を区分して対応することにした。田村課長は「若い世代ではウェブサイトによる予約が増えるはず。柔軟に対応し、市民が安心安全に接種できるよう準備を進める」と話している。

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 新型コロナウイルスの流行「第4波」で、県内では4、5月に感染者数が爆発的に増加した。感染拡大の影響を受けた現場で何が起こっていたのか。関係者の証言から振り返り、課題を探った。