通常国会が閉幕した。立憲民主党など野党4党が会期延長を申し入れたものの、与党が拒否したためだ。野党提出の内閣不信任決議案も否決された。

 与党は、重要法案の多くが成立したことや、閉会中審査ができることを延長しない理由に挙げた。

 しかし、新型コロナウイルスの感染対策は何より迅速さが求められる。国会を閉じて不測の事態に対応できるのか。東京五輪・パラリンピックについても、開催の是非や安全対策をもっと議論すべきだった。

 重要課題への対応を政府任せにするというのでは、国会の責任を放棄したと言われても仕方あるまい。

 新型コロナの感染状況が落ち着いてきたのは確かだ。とはいえ、医療が逼迫(ひっぱく)している地域もあり、まだまだ楽観はできない。

 東京など10都道府県に発令されている緊急事態宣言は、20日に期限を迎える。政府は大半の地域を解除する方針だが、気の緩みから感染が再拡大し、また宣言を出すというのがこれまでのパターンだった。

 感染力が強いインド株の流行も懸念される。同じ失敗を繰り返すことは許されない。

 五輪開催ありきに見える菅義偉首相は、国民の命と健康を最優先にした判断ができるのか。国会が十分にチェックできない以上、私たち国民が一層厳しい目で監視する必要がある。

 感染者が減少傾向にあるのは、ワクチン接種もさることながら、酒類提供の自粛などに協力した飲食店や不要不急の外出を控えた国民の努力の結果だろう。なのに、事業者や生活困窮者らへの支援は不十分だ。

 店がつぶれ、生活が破綻してからでは手遅れになる。新たな手当てが急務だ。閉会中審査を最大限に活用しなければならない。

 菅首相は、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で東京五輪・パラリンピック開催の支持を得たと言う。ただ、その支持はあくまでも「安全・安心な形」で開くのが前提である。

 開催する場合のリスクに関しては、政府の感染症対策分科会の尾身茂会長らが近く提言をまとめる。これを受けた閉会中の集中審議は不可欠だ。

 積み残された課題は他にもある。LGBTなど性的少数者への理解を深める法案は、自民党保守派の反発で国会提出が見送られた。

 総務省幹部が、菅首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」とNTTから接待された問題や、河井克行元法相らによる政治とカネを巡る事件もある。

 会期延長は拒めても、説明責任からは逃れられない。政府・与党はそのことを自覚すべきである。