徳田安春氏

 新型コロナウイルスの感染「第4波」の教訓を生かし、新たな感染拡大を防ぐにはどうすればいいのか。感染症に詳しい群星(むりぶし)沖縄臨床研修センター(沖縄県浦添市)の徳田安春センター長(臨床疫学)に聞いた。

 ―沖縄では今も感染拡大に歯止めがかかっていない。第4波はなぜここまで広がったのか。

 感染力の強い変異株が登場し、まん延したのが最大の原因だ。国外からの変異株移入に対する水際対策が甘かったことに加え、第3波の後の緊急事態宣言解除が早過ぎた。解除に合わせてPCR検査を拡充するなど、有効な出口戦略が乏しかった。このパンデミック(世界的大流行)が始まって1年以上が経過する中で人々の「自粛疲れ」が認められ、感染対策がおろそかになっていたのも影響した。

 現在各地で出されている緊急事態宣言は一定の効果があるものの、変異株のまん延で感染を封じ込められなくなった。まん延防止等重点措置はもともと、感染者が少数見つかった段階で行われる「強制的な自粛介入」だったが、国内で発令されたのは感染が既に拡大したタイミングだったので、効果に乏しかった。

 ―徳島でも感染者数が増え続ける中で、国への重点措置適用要請など県の対応が後手に回ったように見える。

 変異株は人の流れによって移入してくる。沖縄では旅行が最大の要因となって連休明けに感染者が爆発的に増加した。徳島の状況も同様で、人々と共に変異株が本州から橋を渡って移入してきたと考えられる。前述したように、重点措置の国への要請は感染拡大の初期に行われるべきで、感染者数が急拡大した後では得られる効果は薄い。

 ―第5波以降の大規模流行が起きる可能性は。

 流行を防ぐにはワクチン接種による集団免疫の獲得が求められる。そのためには人口の7~8割が接種を完了することが必要だとみられているが、他の先進国に比べて日本の接種ペースは極端に遅い。私たちの研究グループは5月7日に発表した論文の予測モデルで、このままの接種ペースでは来年4月までに国内流行地であと4回の緊急事態宣言が必要になると示した。

 ―そうした中で感染拡大を抑えるには何が必要か。

 徳島の場合は大阪などからの移動が人の流れの動脈になっているので、大阪で感染が拡大している時期に限定して水際対策を取ることも考えないといけない。例えば、迅速抗原検査キットを用いれば30分以内に結果が出る。抗原検査陽性者に対してPCR検査で最終確認をすればいい。

 我々の予測モデルによれば、今秋以降の緊急事態宣言を避けるにはワクチン接種ペースを現在の4倍以上に速める必要がある。そのためにはワクチンの供給とロジスティクス(物流・保管・実施)の不備を改善するべきだ。接種が進んだ段階ではワクチンはあっても打ちたくない人々の存在が問題になり、集団免疫のレベルまで到達しない可能性がある。そうなると局所的な流行は今後も数年続く。 (おわり)

 とくだ・やすはる 1964年、沖縄県生まれ。琉球大医学部卒。聖路加国際病院、筑波大大学院教授、地域医療機能推進機構本部顧問などを経て2017年から現職。新型コロナ対策では積極的な検査で感染源を封じ込める「ゼロコロナ戦略」を提唱する。

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 新型コロナウイルスの流行「第4波」で、県内では4、5月に感染者数が爆発的に増加した。感染拡大の影響を受けた現場で何が起こっていたのか。関係者の証言から振り返り、課題を探った。