徳島市長に宛てたはがき

徳島市が税関に提出した動物輸入申告書。動物名は「エミウ(エミュー)」と記されている

動物の価格が記された資料

 65年前、動物園の早期開園を待ち望む徳島市の小学6年生女児が長尾新九郎市長(当時)に宛てて送ったはがきが、とくしま動物園北島建設の森で見つかったと徳島新聞がインターネット上でニュース配信したところ、はがきの送り主である女性から動物園に連絡が寄せられた。現在は横浜市に住む石塚(旧姓・小坂)さち子さん(76)で、たまたまニュースを目にして「自分が書いたものではないか」と動物園に問い合わせた。石塚さんは「今になって見つかるなんて、なんだか宝くじに当たった気分」と、思わぬ展開にびっくり。新型コロナウイルス下ではがきに励まされた動物園側は「コロナ禍が収束すれば、(移転した)新しい動物園にぜひ招待したい」と喜んでいる。

 はがきは、新型コロナの感染急拡大による休園中に職員が倉庫の整理をしていて偶然発見した。昭和31(1956)年4月22日の消印で、表に「伊賀町」の住所と「新町小学校六年 小坂幸子」と記載。「市長さん お元気ですか」で始まる文面には、父親の仕事の都合で三重県津市から徳島に来ていること、徳島には動物園がなくてつまらないと感じていたことなどが書かれ、「新聞で動物園ができることを知り、友達と大よろこびしました。どうか一日も早くつくってください。お願いします」と市長に訴えていた。

 徳島新聞は12日、電子版に「女児が市長に宛てた65年前のはがき コロナで苦しむ動物園職員を励ます」との見出しでニュースを公開。旧徳島動物園の開園を待ちわびる女児の思いが、コロナ禍で厳しい運営を強いられている動物園職員の励みになっていることを伝えた。プライバシーに配慮して女児の氏名は伏せ、はがきの裏につづられた文面の写真を掲載した。13日にはヤフーニュースでも大きく取り上げられた。

 たまたまネットニュースを目にした石塚さんは、「書いたことは忘れていた」(石塚さん)ものの、「伊賀町に住む新町小学校の6年生」という点や、津市から徳島市に来ていたこと、はがきの字体などから「自分ではないか」と思って動物園に電話し、確認された。

 石塚さんによると、大手建設会社に勤める父の転勤で、小学2年のときに津市から新町小学校に転校。京都の大学へ進学するまでの11年間、徳島市で住んでいた。待ち望んでいた動物園は1957年11月に開園したが、「行った記憶があまりない」と石塚さん。中学生になり、学校の授業と部活で忙しくなったのが理由だそうで、6歳下の妹は何度も行っていたという。

 石塚さんからの電話を受けた動物園の小川嘉弘学芸員は「まさかご本人から連絡をもらえるなんて思ってもいなかったのでうれしい。コロナ禍が過ぎれば、新しい動物園に招待したい」。子ども時代のほとんどを徳島で過ごした石塚さんは「私の古里は徳島だと思っている。いつもはネットニュースは見ないんですが、今回は徳島新聞の記事だから目につきました。大好きな阿波踊りには何度か来ていますが、機会があれば動物園にも行ってみたい」と話している。

【おすすめ】

・とくしま動物園はカピバラが日本一多い動物園! ファンの間で話題に

・カピバラやホッキョクグマなど、とくしま動物園にいる動物たちを動画で紹介