業界となれ合い、公正であるべき行政をねじ曲げる官僚の姿にはあきれるばかりだ。

 総務省幹部らの接待問題を調べている同省の第三者委員会の第1次報告で、同省は放送事業会社「東北新社」の外資規制違反の事実を認識しながら事業認定を取り消さなかった可能性が高いとし、「行政をゆがめたとの指摘は免れない」と結論づけた。

 「根深い問題をはらむ。深刻に受け止める必要がある」とも指摘している。徹底解明し、うみを出し切らねばならない。

 焦点は、外資規制違反の報告を総務省が受けたかどうかだった。東北新社側は2017年8月時点で違反に気づき報告したと主張しているのに対し、総務省側は「記憶にない」と国会で答弁するなど、食い違いを見せている。

 東北新社の特別調査委員会の検証でも、「何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的だ」との見方を示している。総務省側の言い分には無理があると言うほかない。

 一方で第三者委は、会食などの接待との関連性は確認できなかったとした。では、なぜ総務省は3年以上も違反を放置し続けてきたのか。

 当時の担当課長は、東北新社から3万円超の会食の接待を受け、約2万9千円相当のプロ野球のチケットまで受け取っている。同省幹部は何度も同社から接待されており、放送・情報通信の巨大な権限を握る許認可官庁と、それにすり寄る業界との癒着を疑わざるを得ない。

 そこを解明すべき第三者委の調査が不十分だったことは否めない。総務省側が非協力的で、聞き取りに対し、多くの職員が「覚えていない」と繰り返し、あってしかるべき文書もなかったという。不誠実な官僚の態度には憤りを覚える。

 武田良太総務相の対応にも首をかしげる。「行政をゆがめた」行為は、当事者が違反の事実を知らなかったと言っているのを理由に不問に付す考えを示した。到底納得できない。

 これとは別に、総務省は新たに職員32人が延べ78件の違法接待を受けていたことを明らかにした。相手先はNTTグループと東北新社が突出して多かった。

 減給などの処分はしたものの、持ち株会社によるNTTドコモ完全子会社化や携帯料金値下げに影響を与えることはなかったか、東北新社に勤める菅義偉首相の長男はどんな役割を果たしたのか、といった疑問は残ったままだ。

 問題の核心を究明しなければ、国民の不信は拭えない。中途半端な調査で終わらせてはならない。