被害者から相談を受ける野口代表理事=徳島市

 ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者を支援する一般社団法人「白鳥の森」(徳島市)が昨春に設立されてから1年がたった。相談を経て支援につなげた被害者は47人おり、実子など「同伴児童」を含む14世帯をシェルターに一時保護した。新型コロナウイルスの流行に伴う在宅時間の増加や経済的困窮が影響したケースが多かったという。

 被害者47人のうち女性が43人を占め、男性は4人。年齢層は20~50代と幅広い。被害の内容は身体的暴力が最も多く、約半数に上る。夫に片手の指の骨を全て折られるなど、重傷を負わされたケースもあった。

 働くのを禁じながら給料を渡さないなどの「経済的DV」のほか、性行為の強要、避妊に協力しないなどの「性的DV」の相談もあった。被害は複合的で、「人格をおとしめるような暴言を繰り返す」「物を壊したり大きな物音を立てたりして威圧する」といったモラル・ハラスメントは、ほぼ全員が受けていた。

 開設直後の昨年4月、新型コロナの流行「第1波」に伴う緊急事態宣言が全国に出され、新型コロナに絡むDVの相談が急増した。「ステイホーム」が推奨されたことなどから「在宅時間が長くなり、四六時中監視されている」「夫のストレスが増し、暴力がひどくなった」などの声が寄せられた。

 5月以降は、新型コロナ対策で世帯主に一括して振り込まれた一律10万円の特別定額給付金を巡り、「DV被害を受けているので個別に受け取りたい」「夫に横取りされた」などの相談が相次いだ。

 白鳥の森は、対面での相談を経て裁判所や役所への同行、就労支援、臨床心理士によるカウンセリングといった支援を行っている。相談者の9割以上が離婚を望んでおり、裁判所への調停申し立てなどもサポートしている。

 野口登志子代表理事は「男性が大部分を占める世帯主への一括支給など男尊女卑が根強い社会システムの下、立場の弱い女性や子どもにコロナ禍のしわ寄せがいっている。DV被害者は必ず立ち直れる。困ったら相談してほしい」と話している。

 相談先は白鳥の森、電話088(661)4037、メールsupport@swanforest.or.jp。