家族の介護・世話をするヤングケアラーは「見えないケアラー」とも言われる。正確な人数や状況を把握するのが難しいからだ。

 徳島県は2020年12月に県内24市町村に設置する要保護児童対策地域協議会(要対協)を通してヤングケアラーに関する調査を行った。県によると、要対協が支援する18歳未満の子ども(登録者)は昨年12月1日現在で計1243人。ヤングケアラーと考える子どもの人数やケアの状況などを要対協に聞いた結果、計25人(2・0%)がヤングケアラーに該当すると判断した。内訳は▽小学生8人▽中学生11人▽高校生・義務教育修了者6人。いずれも幼いきょうだいや疾患を持つ保護者の世話などに追われている子どもたちだ。

 政府は21年3月、ヤングケアラー支援に向けた厚生労働・文部科学両省の共同プロジェクトチーム(PT)を発足した。全国の中高生を対象に実施した初の実態調査では、公立中学2年生の5・7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4・1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答。1学級につき1~2人のヤングケアラーがいる可能性があることが分かった。

 県と国のデータを単純に比較することはできない。ただ、県こども未来応援室の担当者は「ヤングケアラーは周囲に相談したりSOSを出したりしない傾向がある。県が調査した要対協の登録ケースには含まれない潜在的なヤングケアラーがいるだろう」と「県内25人」が氷山の一角であると認めている。

 国のPTの調査でも、世話する中高生の6割超が誰にも相談したことがないとの結果が得られ、「見えないケアラー」の存在が課題として浮かび上がった。

 PTは5月17日に報告書をとりまとめた。幼いきょうだいをケアする子どものいる家庭に対して家事や子育てサービスの支援を検討するほか、自治体による実態調査を促したり、多機関が連携できるよう支援マニュアルを作成したりする方針だ。政府の支援策は初めてで、ようやく動き出した感がある。

 ヤングケアラー支援を巡っては、一部自治体が独自の判断と方法で国に先行している。

 埼玉県は20年3月、全国に先駆けてケアラー支援条例を施行し、21年3月には、ヤングケアラーを支える人材育成を目的に、3年間で教育と福祉の関係者計約千人が合同研修会を受講することなどの目標値を盛り込んだ支援計画を策定。4月には北海道栗山町が市町村で初めて同様のケアラー支援条例を施行。神戸市はヤングケアラー支援に関する専門部署を全国で初めて立ち上げ、鳥取県は児童相談所にヤングケアラー専用の相談窓口を開設した。

 一方、徳島県は「研究会を発足する予定」(こども未来応援室)とする。気付きの最前線である学校(教育委員会)や福祉・介護、医療、要対協など分野を超えた構成を目指す。担当者は「PTの報告書の内容を確認した上で、県としての方向性を定めて取り組みたい」と話している。ケアする子どもたちを社会としてどう支えるのか、早急に議論を深めたい課題だ。