徳島県議会6月定例会がきょう開会する。

 新型コロナウイルス対策をはじめ重要課題が多い中、注目すべきは、次期衆院選徳島1区への立候補が取り沙汰されている飯泉嘉門知事の動向である。

 飯泉知事は県政史上最も長い5期目で、かじ取りは18年になる。任期途中で辞めることになれば、県政に多大な影響を与えるのは間違いない。

 県議会は飯泉知事の真意を問い、知事は自身の考えを包み隠さず県民に伝えるべきだ。

 衆院は東京五輪・パラリンピック後の9月前半に解散され、選挙となる公算が大きい。身の振り方によっては、飯泉知事にとってこれが最後の定例会になる。議会は大きな局面にあることを認識し、論戦に臨む必要があろう。

 その意味で、集中的に議論すべき案件の一つは、再燃した「とくしま記念オーケストラ」事業を巡る問題である。

 記念オケ事業に絡む脱税事件で、有罪となった音楽プロダクション元代表の女性を東京地検が取り調べた調書の詳細が、明らかになった。そこには経費の見積書や請求書を、県や県文化振興財団の職員でつくる専門チームが作成していたことが記されている。

 これまでの県議会や記者会見で、県の直接の関与はないと否定してきた飯泉知事らの発言と食い違うものだ。元代表とチーム職員らが交わしたメールの記録も新たに判明しただけに、知事は納得のいく説明を果たす責任がある。

 記念オケ事業は県や財団が総額11億5千万円もの巨費を投じたというのに、事業費の流れや元代表がどういう経緯で事業に関わるようになったのかなど、肝心な部分がいまだ判然としていない。飯泉県政で最大の不祥事を、うやむやに終わらせてはならない。

 新型コロナ対策についても、しっかりとした検証が求められる。

 県内では3月末から新規感染者が急増し、4月は過去最多の773人と一時期、人口10万人当たりの新規感染者数は全国で5番目に多かった。確保病床の使用率もピーク時は75%に達し、医療体制が逼迫(ひっぱく)した。

 宿泊療養施設を十分に活用せず、国から届いた変異株の陽性結果を10日間も公表しないなど、不手際も目立つ。改めて問題点を洗い出さなければならない。

 今定例会では、議会が飯泉知事と向き合う姿勢も一段と問われよう。

 とりわけ最大会派の県議会自民党は、党県連の身内からも「知事となれあい」と批判されている。否定するのなら、緊張感のある質疑で示してもらいたい。