藤井聡太王位(18)=棋聖=に、豊島将之竜王(31)=叡王=が挑む「お~いお茶杯第62期王位戦」(徳島新聞社など主催、伊藤園特別協賛)7番勝負が29日に名古屋市で開幕する。昨年、棋聖と王位を続けて獲得し二冠となった藤井の防衛戦。59期以来の奪還へ名乗りを挙げた豊島は藤井に6勝1敗と大きく勝ち越しており〝最強〟の挑戦者といっていいだろう。第4局までに決着しない場合は、徳島市で8月24、25日に第5局が行われる。両対局者に、7番勝負に臨む意気込みを語ってもらった。

 

藤井聡太王位 バラエティーに富む戦型で

 

 前期の王位戦7番勝負では初めて2日制の対局を経験しました。全国を転戦して戦ったのは初めてで、飛行機に乗ったのも10年ぶりでした。現地の方に歓迎していただき、楽しく将棋を指すことができました。

 タイトルホルダーという立場になり、公式戦の対局で上座に座って駒箱を開けるという機会が圧倒的に多くなりました。以前にも増して身が引き締まる思いがしています。

 豊島竜王は同郷・愛知県の先輩。深い研究と鋭い終盤力を持ち、過去の対戦成績でもこちらが大きく負け越している強敵です。

 豊島竜王も私と同じように、一時期は角換わりの採用率が高かったように思いますが、最近は相掛かりや矢倉も指されています。7番勝負ではバラエティーに富んだ戦型となった方が、ファンの皆さまにとっておもしろいと思いますので、私も違う戦型を採用していくことになるかと思っています。一つの戦型に偏ることなく、相居飛車の幅広い戦型が登場する7番勝負になるのではないでしょうか。豊島竜王はどの戦型も深く研究されているので、それに対してこちらがどのように対応できるかがポイントになりそうです。

 7番勝負は得られるものが多い舞台です。序盤の工夫や中盤のねじり合い、また終盤に至るまで、楽しんで観戦してほしいですね。長い持ち時間を生かして、いい内容の将棋をつくりあげたいと思っています。ご観戦、よろしくお願いします。

 ふじい・そうた 2002年生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下、12年、6級で奨励会入会。16年、四段昇段。16年から17年にかけ、デビューから29連勝で連勝記録を更新。20年、棋聖獲得で初タイトル、王位奪取で二冠、八段昇段。詰め将棋で鍛えた鋭い終盤力を持つ居飛車党。

 

豊島将之竜王 終盤の競り合いに持ち込みたい

 

 王位戦は、北海道から九州まで全国を移動するので「タイトル戦を指してるなあ」と実感できる棋戦です。藤井王位とは同じ愛知県出身。同郷同士の対局になりますので、地元の方には喜んでいただけると思っています。

 居飛車党で手厚い将棋を指される藤井王位は、序盤の新しい感覚を早くから習得していて最先端の将棋を指されている印象です。最近は作戦の幅も広がっているのでいろいろな戦型が予想されます。自分の力が出るような展開にできるようしっかり準備して対局に臨みます。

 2日制の王位戦は長い持ち時間があります。私はゆっくり考えることが好きで、藤井王位も順位戦など長い時間の将棋のほうがより精度の高い将棋を指されている印象があります。藤井王位は序中盤から時間をじっくりかけて指してこられますので、私にとっても一手一手丁寧に考えることのできる充実した時間になると思います。

 終盤のミスが少ない藤井王位は、最近はずっと優勢を維持したまま勝たれています。自分なりに精いっぱい指して、終盤の競り合いに持っていくことができるようにしたいですね。

 (他棋戦の重要対局も多く)日程が詰まっています。ただ、竜王戦が終わってすぐは対局が少なくなってしまい(調整が)難しいところがありました。たくさん対局できるのはうれしいことなので、体調に気をつけて精いっぱいがんばりたいです。

 とよしま・まさゆき 1990年生まれ、愛知県一宮市出身。桐山清澄九段門下、99年、6級で奨励会入会。2007年、四段昇段。18年、棋聖を獲得し初タイトル、王位獲得。19年、名人を獲得、竜王奪取、竜王・名人に、九段。20年、叡王獲得、竜王防衛。精密な研究で他を圧倒する居飛車党。