徳島のり採苗センターが開発したスジアオノリの種付けで使われる水車=鳴門市の同センター

 ノリの種付けを手掛ける徳島のり採苗センター(鳴門市)が、黒ノリで使われる水車を使って県特産のスジアオノリを種付けする独自の手法を開発した。高水温などに左右されずに安定的に行えるのが特長で、井川直人代表が5月に特許を取得した。希望する生産者を対象に種付けの予約受け付けを始めた。

 センターによると、吉野川河口などで見られるスジアオノリの養殖の多くは、ノリの寝床となる種場に網を仕掛け、網に付いた天然の胞子を沖合の養殖場で成長させて収穫する。水温や栄養状態、増水など川や河口の環境に影響されやすく、安定的な種付け方法が求められている。

 新たな手法は、黒ノリの種付けに使われる円柱状の水車(直径、幅各2メートル)に幅1・8メートル、長さ20メートルの網を幾重にも巻き、スジアオノリの胞子を入れた水槽に底を浸した状態で回して均等に付着させる。網は一つの水車当たり100枚まで装着可能で、1~3時間回すと種が付くという。

 その後、別の水槽に移し、数日間たつと芽が出る。1網当たりの種付け価格は1500円(応相談)。費用はかかるものの、種を付けるための網を船に乗って張る人件費や燃料代などを勘案すると、同程度になるという。

 徳島のり採苗センターは井川代表が2005年に個人で開設した。井川代表は水産大学校研究科(山口県下関市)を修了後、兵庫県漁連の「兵庫のり研究所」(明石市)で8年間勤め、黒ノリ養殖に最適な水質や培養などの研究に取り組んだ。

 スジアオノリは近年、不作が続いており、黒ノリの機材を応用して安定的な種付けができないかと、6年前から水槽への網のくぐらせ方や、胞子の量・種類といった条件を変えながら実験に取り組んでいた。井川代表は「特産物の生産向上に少しでもつながれば」と話している。