土作りにこだわってレンコン栽培をする日本農産(鳴門市)の代表取締役・齋藤瑛さん

齋藤瑛さん(37)鳴門市

 レンコンを専門に栽培する日本農産(徳島県鳴門市)の代表取締役。コウノトリの餌場にもなっている同市と松茂町の13ヘクタールで年100トンほどを生産し、JAを通じて関西市場に出荷しているほか、スーパーの産直市などで販売している。

 「重い粘土質の土で育ったレンコンは身が締まり、シャキシャキとした歯ごたえが特徴。口の中でかむ時間も多くなるので甘く感じる」。熊手などを使い、一つ一つ手掘りで、傷を付けないよう収穫している。

 「レンコンを安定的に作ることが、味の良さにもつながる」が持論。土作りにこだわり、作物の成長に必要な窒素、リン酸、カリの3要素のほかカルシウム、マグネシウムなどの微量成分を分析。足りない成分を肥料として補いながら生産している。

 レンコンの芽や葉を根こそぎ食べてしまうアメリカザリガニやジャンボタニシなどを駆除するため、最低限の農薬は使うものの、基準の半分から3分の2に抑えている。

 レンコンを栽培する齋藤農園(同市)の長男に生まれた。東京の農業者大学校を卒業後、22歳で就農した。当初は「単純作業を繰り返しているようであまり面白くなかった」。父親から畑の一部の栽培管理を任され、自分の努力次第で収量などの結果が出せることを知り、魅力に取りつかれていった。

 「土作りも試行錯誤を重ねた結果、安定生産はもちろん、病気の減少にもつながった。農業は手をかけただけ応えてくれる」

 今年1月には齋藤農園を法人化し、日本農産としてスタートさせた。農業後継者が少なくなる中、担い手となる若者を増やしたいと思ったのがきっかけで、現在は社員・役員4人とパートタイマー3人、技能実習生6人が働く。社のキャッチフレーズは「日本一農業を面白くする会社」。

 設立早々、20代の社員2人に、1200平方メートルずつの栽培管理を任せ、収益の半分をボーナスとして支給する制度を始めた。「考えて結果を出すことで、レンコン栽培の魅力や面白さを知ってほしい」との思いからだ。

 齋藤農園時代の2013年には、農業生産工程の管理手法「JGAP」の認証を取得した。100カ所以上ある畑を番号制にしたり、資材を置く場所を決めたりと、家族以外の誰にでも分かりやすい仕組みを整えた。こうした取り組みは家族経営から法人経営となった今につながっている。

 昨年から1700平方メートルのハウスでの出荷も始めた。露地物より新物のシーズンが1カ月以上早く、価格が高い6月上旬に市場に並ぶ。

 「レンコンには、まだ伸びしろがあると思う」と齋藤さん。量販店での売り場面積が少ないのが理由だ。「おいしく栄養価が高い野菜だけに、もう少し売り場があってもおかしくない。将来的にはレンコンを使ったパンの販売などもできるようにして、消費者に魅力をアピールしたい」と力を込めた。