2020年東京五輪・パラリンピックの猛暑対策として、新野高校(阿南市)など県内3高校の生徒が刈り草を原料に作った堆肥の活用が検討されている。期間中の熱中症防止に取り組む群馬大などが、競技会場周辺に木陰をつくるプロジェクトの中で堆肥を使う。1日から都内で実証実験が始まる。
熱中症防止プロジェクトは、群馬大と東京都農林総合研究センターが14年度に着手。東京五輪・パラリンピックの期間中、樹木を植えた大型コンテナとミスト発生装置を組み合わせた「移動式緑化ベンチ」で日陰をつくる。
堆肥は新野高、小松島高、小松島西高勝浦校の生徒有志でつくる「緑のリサイクル・ソーシャル・エコ・プロジェクトチーム」が開発した。14年に県から肥料の製造・販売許可を受け、道路や公園などの除草作業から出る刈り草を有効活用している。
昨年12月、環境や社会貢献活動を表彰する環境省の「グッドライフアワード」で部門賞を受賞。都内で開かれた表彰式で新野高生らが「東京五輪で使ってほしい」とアピールし、会場にいた群馬大とセンターの関係者が関心を示した。大型コンテナの土として活用し、保水性や樹木の生育への影響を確認する。
実験は1日から9月30日まで。江東区の公園に9基設け、周辺の気温や体感温度のデータを収集する。
群馬大大学院の天谷(あまがい)賢児教授(熱流体工学)は「堆肥は『地球にやさしい五輪』の大会テーマにぴったり。高校生の力を借りて熱中症対策の効果を上げたい」と言う。
新野高3年の長田莉奈さん(18)は「世界が注目する舞台で自分たちの堆肥を役立ててほしい。資源循環の取り組みがもっと広がれば」と期待している。