1964年東京五輪のチケットを手にする平井さん=徳島市城東町1の自宅

 東京五輪の開幕まであと25日に迫った。徳島市城東町1の平井勇さん(75)は、1964年の前回東京五輪を観戦するチャンスを得ながら、見送った。それから55年後に未使用のチケットを自宅で発見。その価値をかみしめつつ、7月23日の開幕を待ち望んでいる。

 高校時代にラグビーをしていた平井さんはスポーツ観戦も好きだった。チケットは、東京で大学生活を送っていた時に父龍夫さん(故人)からプレゼントされた。

 10月18日有効の国立競技場入場券(幅23・5センチ、縦8センチ)で、特等席(4千円)と1等席(3千円)各1枚。左に赤、右に水色の円を配したデザインだ。右端に、競技場手前のゲートと競技場のエントランスで切り取られるはずだった半券2枚が残っている。

 この日は陸上競技が行われ、メダルが期待されていた女子80メートルハードルの依田郁子選手(故人)が出場していた。ただ、雨が降っていたため、平井さんは観戦を見送った。チケットはやがて行方が分からなくなってしまった。

 チケットと「再会」したのは、半世紀以上たった2019年の暮れ。物置を整理していたところ、学生時代のアルバムに挟まっていたのを見つけた。急いで家族を呼んで見せたという平井さんは「どこにあるのか分からず、ずっともやもやしていた。ようやく気持ちがすっきりした」と言う。

 2度目の東京五輪は新型コロナウイルスの影響で観客数制限など異例の対応を迫られている。平井さんは「安全安心という点ではやむを得ないが、出場選手にとっては観客や家族の応援がないと張り合いがないだろう」と思いやり、「一番いいのはコロナが収束して以前の生活が戻ること。ワクチン接種が進み、オリンピックの日を穏やかに迎えられれば何よりだ」と話した。