徳島市が撤退した新町西地区再開発事業を巡り、市が地権者でつくる再開発組合に和解金を支払う事態になったのは遠藤彰良前市長の政策判断の誤りに起因するなどとして、同市の男性(64)が損害補塡(ほてん)に必要な措置を講じるよう市に求めた住民監査請求で、市監査委員は28日、内藤佐和子市長に対し、和解金4億1千万円の損害賠償請求などを遠藤氏に行うかどうか、対応を決めるよう勧告したと発表した。男性の主張を一部認めた内容で、市も同様の主張をしていることから、市が遠藤氏に損害賠償を請求する可能性が出てきた。

 監査結果では、市が男性の意見を一部認め、和解金と弁護士費用について「(遠藤氏に対する)求償権または損害賠償請求権を有する」と主張していることから、賠償を求めるとの目的は男性と市が同じだと指摘した。

 その上で、損害賠償請求などを行うかどうかなど今後の対応を、8月26日までに正式決定するよう内藤市長に勧告した。

 市が再開発事業のため組合に交付した補助金など計2億3330万8千円についても求償権を主張していた点については、事業を巡る損害賠償請求訴訟の一審徳島地裁判決で組合の損害と認定されていないため棄却された。一方、市民の関心が高いとして、補助金や弁護士費用も損害賠償請求の有無や範囲を精査すべきだとの意見を付けた。

 監査請求を受け、遠藤氏に対する求償権や損害賠償請求権が生じているかを市が検討した内容も盛り込まれた。市の主張では、再開発事業から撤退する際、組合に対して具体的な事業の変更案などを提示していれば訴訟にならなかったとして「前市長に対し求償などの請求を行うことが相当」と結論づけている。

 決定は24日付。市の北岡武都市建設部長は「内容を踏まえた上で適切に対応したい」とのコメントを出した。男性は「(監査結果は)当たり前だと思うし、納得している。今後の市の対応を見守っていきたい」と話した。

 遠藤氏は「監査内容をじっくり読ませていただく」と話した。

 監査委員は尾田正則、藤原晃、岡南均、岸本和代の4氏(24日時点)。

 再開発事業を巡る損害賠償請求訴訟の一審判決では、遠藤氏による事業からの撤退を「信頼に反する違法な行為」と認定した。市は4月下旬、控訴審で市と再開発組合との和解が成立したのを受け、組合に和解金を支払った。