徳島市は29日、8月に主催する阿波踊りについて屋外での開催を断念し、あわぎんホールで前夜祭と選抜阿波おどりだけを開く方針を示した。踊り連、観客ともに参加者は県内在住者を前提とする。この日、市役所で開いた踊り手や経済団体役職者らでつくる「阿波おどりネットワーク会議」の第4回会合で市が明らかにし、出席した全委員17人(代理出席2人)から異論は出なかった。

 委員らの発言要旨は次の通り。

第4回阿波おどりネットワーク会議=徳島市役所

 

内藤佐和子市長

 阿波踊りの事業計画については、とくしまアラート、全国の感染状況を踏まえて総合的に判断する、と議会でも記者会見でも述べてきた。コロナ下の開催についてさまざまなご意見をいただいている。感染対策についても意見や提言をいただいた。本日、感染症対策実施マニュアルを配布している。

 75連が参加表明した。職場や家族の状況から断念する人がいる中、参加したいと申し込んでくれた方には、何としても踊っていただきたいというのが本心。議会の提案理由説明でも述べたが、NHKで徳島商業高校の阿波踊り連の活動も見て、次世代へ継承していくことは徳島市のミッションであると決意したところだ。

 先日、とくしまアラートは解除されたが、8月15日までは県の「第5波・早期警戒期間」。県外では変異ウイルスが確認され、東京では感染者が少し増加傾向にある。依然として予断を許さない状況と認識している。

 ギリギリまで悩みに悩んだが、75連全員が参加できるAプランは断念せざるを得ないという結論になった。屋内のみのBプラン、あわぎんホールでの開催を基本に議論をいただきたい。

 しかし、これには問題点がある。前夜祭などでは有名連しか参加の機会がない。「次世代へつなぐ」ということとは意味が異なってくる。踊りたい若者、一般連、学生連、こうした方々にも何とかして踊れる場を提供できないか。そこで有名連の代表の皆さま、文化、観光、経済、まちづくりを代表する皆さんの意見を聞きながら、コロナ下での阿波踊りをどういったかたちにすればいいのか、どうしたら未来へとつなげるか、といった議論を展開してほしい。

 

事務局(市経済部)が資料に沿って事業計画を説明

・8月11日の前夜祭(3回公演)と12~15日の選抜阿波おどり(3回公演)のみとするモデルBを基本とした計画としたい

・参加者は県内在住者を前提

・今後の感染状況によってはさらに縮小、中止の場合も

【資料はこちらから】

 

内藤市長

 阿波踊り団体の方から意見を。池田委員。

 

池田順子氏(県阿波踊り協会副会長)

 阿波踊りと言えば「桟敷」というイメージがある。しかし、ワクチン接種が進んでいない中、これはやむを得ないかと思う。

 

内藤市長

 ありがとうございます。次に山田理事長。

 

山田実氏(阿波おどり振興協会理事長=朝日榮作会長の代理出席)

 皆さん、こんにちは。市長から今年度の阿波踊り案Aを断念せざるを得ないという提案、説明があった。池田さんからもやむを得ないという意見があった。

 私ども阿波踊りに携わる一つの団体、振興協会としては非常に残念だと言わざるを得ない。

 先般、飯泉知事からも8月15日を明確に発せながら、コロナの感染の慎重な対応を求めていきたいという発言があったかと思う。オリンピックを控えて、慎重にやらないといけないというのは重々承知せざるを得ない。市長も議会の中で「もがいて、もがいて」と言った。「もうひとあがきしてほしい」というのははっきり言ってあったが、現状を考えると、桟敷は断念せざるを得ないのかな、と。

 B案の説明があった。「次世代へ」ということも踏まえて、何らかのかたちでもう少し模索を、75連の参加を、とのことなので意見を述べたい。

 300連以上に呼び掛けた中、75連が参加する。「非常に少ない」「たった75連」と言わんばかりの報道がされているように思う。「踊りたくない人がたくさんいる」というような報道がなされているが、これは間違い。

 私どもの協会では100%踊りたい。でも、仕事の関係などで踊れない人がいる。しかし、できることなら踊りたいという意思は全員が持っている。 

 踊りに参加できると思った連員が思ったより多いと認識している。75連の思いをむげにすることはない。何らかのかたちでもう少し、できないか。もう少し研究、検討を重ねていただくことはできないか。

 選抜と前夜祭を開催する。前夜祭については2回、県協会とも打ち合わせした。前向きな状況の中、選抜をされた人たちが踊ることが現実的に進んでいる。選抜については、県協会も思ったより出演人数が少ない。そこを踏まえたやり方はいろいろある。ただ、連員も制限される中、同じクオリティーを求めることは難しいと正直に申し上げておきたい。

 そうした中、コロナ下で開催する意義、市長が申し上げた中で「次世代への継承」というところに重点を置き、入場料を下げる、無料にするとか、希望する学生連も盛り込みながら開催をしてはどうか、そうしたことも検討していただく余地はあるのか。 

 県外からの客については、資料を読むとまん延防止措置を取る所からの観客は県民市民感情から受け入れがたいと推察される。慎重な取り扱いに異論はない。場合によっては4日間の日時や開催の時間、こうしたことを検討していくことも必要。合わせて検討を。

 余談だが、徳島経済研究所から5年ぐらい前、「徳島が好きになる本」が出された。阿波踊りのことも書かれている。阿波踊りというものの意義、これをコロナ下にも開催することをもう一度考えていただいて、ご検討いただければ。

 私たちは踊りたくても踊れないという人たちを背中に背負って一緒に踊っていきたい。

 他府県の阿波踊り、催しはやめている、と言われる。阿波踊りは徳島が誇る伝統芸能。経済効果もある。しかし今回、県外からの集客が望めないのも事実。断腸の思いで市長はあがいて、あがいていたんだろう。桟敷は断念せざるを得ないということには致し方ないと。そのほかの部分に検討の余地があるなら、ご検討いただければ。

 

内藤市長

 保存協会の七條委員。

 

七條愛氏(県阿波おどり保存協会理事長)

 残念ではあるが、徳島の阿波踊りが安心安全で踊れることが大切。また来年、私どもの協会も協力していきたい。

 

内藤市長

 ほかの委員さんにも意見を伺いたい。どなたか。

 

森浦源泰氏(県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長)

 B案ということで進めているが、以前、藍場浜公園で桟敷を組んで阿波おどりネクストモデル(昨年11月)をした。しかし、今回は桟敷をやめた。ネクストモデルは参考になったのか。なぜ桟敷をやめたのか。説明いただきたい。

 

事務局

 藍場浜公園でネクストモデルを開催した頃から比べ、感染状況も変化している。得られていなかった知見もあり、変異株の発生など状況が変わっている。事務局としても安全安心を第一に、慎重に検討を重ねた結果だ。人の流れ、雑踏対策を考えたところ、悩んだが、桟敷については開設を断念した。

 

森浦氏

 藍場浜のネクストモデルでは、トラブルや不都合は起きなかったのか。

 

事務局

 検証結果は報告書にまとめている。観客の退場時など部分的に密集状況はあったが、おおむね順調だった。練習時からの対策、お客さんの誘導の方法、踊り連の演出など、あのときにやったからこそ得られたものはある。

 

内藤市長

 付け加えると、昼間と夜(の違い)や時期がお盆ということもある。ほかには。

 

鈴江祥宏氏(徳島都市開発社長)

 やはり、Bで何らかのかたちで阿波踊りを行うことが来年につながると思う。観光業界は既にアフターコロナを見据えている。そうしたことを発信するのが大事。阿波踊りの魅力を発信していただきたい。アミコビルができることはないか考えていきたい。

 75連のうち学生さんの連もある。学生さん、若い人は受け継いでいってもらわないといけない大切な人。練習をしていると聞いている。山田理事長の話でもあったが、何らかのかたちでこうした方に踊らせてあげたい。

 

内藤市長

 ほかに何か。

 

東桃代氏(徳島大学病院感染制御部長)

 学生は外で気が緩みやすい年代。教員のような方が責任を持っていただけるなら良いかもしれない。一人も感染者を出さないため、マニュアルをしっかり守れるように。

 

矢田博嗣氏(県観光協会理事長)

 ほかの祭が中止の中で、今後どうなるか分からないが、粘り勝ちというところも見えてきた。「阿波踊りはやるみたいだな」とよく言われる。ほかが中止になる中で、縮小にはなるがやっているんだとしっかり発信すると、今後、その街に行ってみたいというPRになる。そこをしっかり取り組んでいただきたい。

 県外の方がチケットが買えないとなると、収支の部分で、徳島の方だけにチケットをどうさばいていくのか。観客は(収容人数の)50%しか入れない。会場に客がほとんどいなかったという画像が流れないために、地元の熱気があふれる会場にするのが徳島をPRするために必要だ。

 チケット収支や販売方法について。

 

事務局

 チケット販売を県内対象にするというのは直近の決定で、まだ収支、販売方法については最終的に確定していない。できる限り、県内の方にお越しいただけるような広報や販売方法を考えたい。

 

内藤市長

 例えば無料でチケットを提供することも、事務局としては検討の余地はあるのか。

 

鈴田善美経済部長

 入場料の変更について。今回のニューノーマルモデルの案、基本的な内容はこれまでの阿波踊りを前提にした。コロナ下ということで市が主催する。今回A案からB案になり、祭りの意義は薄れている。選抜阿波おどりなどで卓越したパフォーマンスをされてきた方の催し、それを次世代につなぐ、という意味合いからすると公益的な意味が強くなっている。市当局からすると入場料、収支の検討もするが、そうしたことも検討の余地はあるかなと考えている。日時、出演連、料金等については早急に検討したい。

 

内藤市長

 ほかに意見は。

 

犬伏敏也氏(市文化振興公社事務局長)

 資料2ページを見ると、おどりステージは設置しないということで、私どものところ(シビックセンター)での開催はない。B案で残念だが、慎重な判断として理解する。

 鈴江さんからも「アミコビルとして何かできることを」と提案があった。私たちも何かしらのかたちで、阿波踊りを盛り上げるイベントを、何もかたちとしては思いついてはいないが、ご提案があれば教えていただきたい。

 

内藤市長

 ほかに意見は。

 

木内崇氏(徳島商工会議所青年部会長)

 モデルBと抑制的な方向になったのは致し方ない。選抜阿波おどり、前夜祭は、ユーチューブなどオンラインで配信するなどできないか。阿波踊りをするほかの高円寺や南越谷と何かオンライン上で一緒にできたりしないだろうか。来年以降もいろんな面でお手伝いできれば。

 

内藤市長

 ほかにご意見。

 

山田氏

 いろいろご検討いただくということで期待する。いい方法がないか、と踊り子の立場でご提案させていただきたいと思う。チケットの販売について鈴田部長が提案していた。(これまでの)収支(計画)では、客席の半分のさらに7割を(チケット収入として)予算化していた。前夜祭、選抜を入場料無料とするなら、県郷土文化会館(あわぎんホール)の貸し出し料金は興行的に行う場合と比べ、相当の開きが出る。桟敷設営費がなくなったということであれば、その部分を加味して、考え方をより良いものにしていただけると期待している。よろしくご検討を。

 

内藤市長

 ほかにご意見は。

 

小松真一氏(徳島経済研究所事務局長)

 山田委員の話もあるが、料金については、もう一度考えることが必要かと。もう一点、場所はあわぎんホールだが、ステージや控え室が広くない。3密対策をしっかりしていただきたい。また、この間からワクチンの職域接種が始まった。商工会議所で取りまとめたらワクチン接種ができる場合がある。踊りの協会は企業ではないが、何か考えられているのであれば教えていただきたい。

 

山田氏

 2点目の質問、踊り手の意向はどうかという話だったと思うので、私どもの方から。前回の会議時、職域接種が予測されていた。職業ではないが、業界として、できれば参加申し込みをしている連、連員に徳島市として優先的にワクチンを打っていただけないかと発言したかった。しかし、「踊り手だけなんな、へらこいでないか」と言われることがネットワーク会議の妨げになってはいけないと、言わなかった。芸の継承という位置付けから、していただけるのでは。職域では会社の予算で手配することもあり、具体的な要請はできなかった。気持ちは前々から持っていたということだけお伝えしておく。

 

内藤市長

 ほかには。

 

森浦氏

 桟敷券の売り方について。旅館をしていて、いろんな問い合わせが来る。桟敷券の売り方や場所などについて。

 県外の方で、例えばワクチンも打っている方もだいぶいる。職域を打っている方もいる。県外の方でも、ワクチンを打った証明書を条件に入っていただく。もし券が売れないと寂しい。採算的にも課題となる。できるだけ多くの人に広げて、安心安全でやっていただきたい。ワクチン接種を何らかのかたちで生かせないか。

 

東氏

 ワクチンを2回打ち、フリーパスのように使えるのはある程度集団免疫がついてからだ。イギリスでは摂取率が6割だが、変異株で感染は増えている。イギリスは若年層をターゲットにワクチン接種を続けている。

 (森浦氏の案は)確かにいい案で、来年はそうして経済を回せる。現段階では日本ではまだ早い。

 

森浦氏

 せっかく、ワクチンがある。完璧ではないが、予防対策も取りながら、県外からも参加できるようにしたらいいと思う。考えていただけたら。

 

池田氏

 75連の中で、舞台踊りができる連がどれくらいあるのか。事務局は75連に、舞台踊りができるか、改めて聞くのか。

 

鈴田経済部長

 この会議で、そういう選抜阿波踊りのアレンジという提案をいただいた。75連の方には、Bでいきたいと連絡しないといけない。選抜での提案があったので、団体と相談しながら、申し込みのある連の希望を聞かねばならない。まずは、いったん事務局で相談して検討したい。

 

山田氏

 今の部長の答弁の流れでいくと、結論がなかなか出ない。後ろにずれ込んでいくだけ。

今日は桟敷を中止にすることをメインに意見を出し、大半認められた。今の時点ではB案。すると、B案には協会しか参加しない。Bになった時点で、75連は場合によっては連絡しなくても出られないとなる。

 ただし、市長は「次世代への継承を強く求める」とのこと。場合によっては、例えば徳島商業の連などは舞台に出られるだろう。県協会と連携をしながら、打ち合わせをしながら、十分対応が可能だ。会議を早く持てれば。

 

内藤市長

 早急にやっていきますので、よろしくお願いします。

 

佐藤勉氏(県文化振興財団理事長)

 アスティとくしまと違って、(県文化振興財団が指定管理をする)あわぎんホールはステージが狭い。楽屋も期待に添える設備がない。当日はできるだけたくさんの部屋を確保し、踊り子がそれぞれ密集しないよう。客の動線も考え、安全対策をしたい。

 県の方針でもあるが、7月は大ホールは(収容人数)890人フルで使える。これが前夜祭、選抜でどういう状況になるか分からないが、全スタッフを挙げて対策を取った上で、踊っていただきたい。

 2点目。本館でこういった前夜祭を含め5日間開催するのはスタッフも初めてのこと。舞台監督さんを配置していただき、どういう連の方がどれくらいの規模でパフォーマンスしていただけるか、決まり次第、照明係などとの打ち合わせをしていただきたい。感染対策を含め。

 入場料について。県から指定管理を受けているが、入場料が無料になると(貸し出し料の)減免措置を県に要請し、県に検討してもらえる。

 

山田氏

 文化振興財団には素晴らしい職員がいる。県協会との打ち合わせの中で、そうした議論も進めている。先般の最後、舞台監督、照明のスタッフも含めた打ち合わせを早急にと事務局に求めた。

 「密」を防ぐため、会館内で一方通行の流れをつくれないかと具体的な措置も含めて検討している。

 

内藤市長

 ほかに意見は。

 ありがとうございました。いただいた意見を踏まえ、再度検討し、開催内容を決定したい。安全安心な阿波踊りにし、PRしていく。阿波踊りというブランドをほかの県に売り出し、次世代に続くものとなるよう頑張っていく。内容が決まり次第、委員には連絡し、プレスにも発表する。