デラウェアを収穫する庄村さん。生産者が減っている=阿波市阿波町山王

 徳島県内有数のブドウの産地・阿波市阿波町山王地区で種なしブドウ「デラウェア」の生産者が減り、収量が減少している。ハウス栽培のボイラー燃料が値上がりしたのに加え、シャインマスカットなどの大粒種が台頭したのが理由。JAは季節ものとしての需要はあるとみて、大粒種との共存を図る。

 山王地区は市西部の傾斜地にあり、日射量の多さや水はけの良さから、一帯でブドウ栽培が盛んに行われている。14戸がデラウェアやピオーネなど多様なブドウを生産している。

 デラウェアの栽培は1960年代に始まった。JAあわ市によると、最盛期だった昭和後期から平成初期にかけては地区で25戸の農家が約38ヘクタールで育て、2億円を売り上げた。県内では珍しいブドウ専用の選果場を設け、選別や箱詰めを共同で行ってきた。

 冬季からボイラーを使うハウス栽培「加温栽培」に力を入れ、他産地より長期間出荷できる体制を確立。4月から出回るため、日本で一番出荷が早い産地として有名だった。しかし近年、ボイラーの燃料になる重油の価格が高騰し、加温栽培をする農家はなくなった。シャインマスカットなど取引価格の高い品種に切り替える農家も増えた。

 10年前には15戸ほどあった農家は、昨年は8戸(栽培面積約4ヘクタール)、今年は4戸(約2ヘクタール)になった。今年の収量は前年の半分の約20トンになる見込み。デラウェア専業は1戸だけで、残りの3戸は並行して別の品種も育てている。

 JAあわ市は「生産者が減っても季節を告げる商品には需要がある。残っている生産者は気概を持って栽培に取り組んでくれているので、現状を維持したい」としている。

 デラウェア農家の庄村剛志さん(42)=阿波町山王=は「栽培が減っていくのは寂しい。これからも変わらず親しみのあるデラウェアを届けていきたい」と話している。