JAL東京線のボーイング737―800。感染拡大で機材が小型化された=松茂町の徳島阿波おどり空港

 新型コロナウイルスの感染拡大で、徳島阿波おどり空港(松茂町)を発着する空の便の減便が続いている。日本航空(JAL)と全日空(ANA)は感染収束後に元の便数に戻したい考えだが、リモート会議の普及でビジネス需要が減るとの見方もあり、先行きは不透明だ。県は、便数の減少は県民の利便性低下につながるとして、コロナ禍前の便数維持を目指すとしているが、具体的な道筋は見いだせていない。

 昼前の東京行きが出発すると、チェックインカウンターやロビー、売店、展望デッキから人影が消える。夕方まで出発便も到着便もないためだ。空港関係者は「こういう光景は100年に一度あるかないかだろう。一つの災害だ」と嘆く。

 現在、東京線の便数は基本的にJALが1日3往復、ANAが2往復の計5往復。コロナ前は2倍の10往復だった。JALの福岡線も2往復から1往復に減り、キャセイドラゴン航空の香港との季節定期便も運航停止のまま。夏休みや3連休のある7月はJALの東京線が4~6往復に増えるが、8月以降も定着するかは微妙だ。

 厳しい状況の下、JALとANAは懸命の経営努力を続けている。JALは東京線の主力だった261人乗りのボーイング767を165人乗りのボーイング737―800型に、ANAは166人乗りのボーイング737を146人乗りのエアバスA320に小型化するなどした。

 両社の社員が自治体に派遣される例も相次ぐ。あくまで地域活性化を目的としているが、本業で活躍の場が少なくなった人に働いてもらうための策という側面もある。またANAは4月から徳島支店の人員を3人から2人に減らした。

 先行きについては、両社とも観光需要は回復するものの、ビジネス利用は元に戻らないとみている。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の普及などで、出張が減る可能性があるためだ。JALの坂本優子徳島支店長は「ビジネス客が減る分、観光で補わないといけない」と話す。県と一体となって魅力発信に取り組み、香川県に流れがちな観光客を徳島に引き寄せたい考えだ。

 ANAの大山芳香徳島支店長も「便数は元に戻る現状にはないが、なるべく早く戻したい」。地方で余暇を楽しみながらテレワークをする「ワーケーション」の推進、サテライトオフィスの誘致などで自治体と協力し、搭乗者の増加を図る。

 新型コロナの航空業界への影響に詳しい一般財団法人運輸総合研究所(東京)の藤村修一客員研究員は「ワクチン接種が7~8割終わると人々は安心して動ける」と指摘。コロナ下のゴールデンウイークでも観光に向かう人の流れが見られたことから「今後、爆発的に旅行の需要は高まる」と予測する。ただ、外国人旅行者の受け入れはワクチン接種済みを確認する仕組みの構築に時間がかかり、入り込み客数が元に戻るには数年かかるという。

 ビジネス需要は高まるのか。藤村氏はオンライン会議で済ませる風潮は続かないとみており「人と人との信頼感は一緒に食事し、会話することで醸成される。新型コロナ収束後には元に戻るだろう」とする。

 県で航空戦略を担当する次世代交通課の地面浩課長は「東京線10往復の復活は最低限の目標」と言うが、具体的な方策はないのが現状だ。香港との季節定期便は、再開に向けての取り組みを関係者と続けているという。

 徳島空港は四国の他の3空港に比べて路線数が少なく、2018年に完成した国際線ターミナルも十分活用されているとは言い難い。感染収束を機に、元の便数維持はもちろん、さらなる路線網の充実に向けた取り組みも求められる。